COROT

COROT（コロー衛星）とは

COROT（Convection, Rotation et Transits planétaires：対流、回転、惑星のトランジット）は、フランス国立宇宙研究センター (CNES) が主導し、欧州宇宙機関 (ESA) やその他の国際協力機関との協力によって2006[[年]]に打ち上げられた宇宙望遠鏡です。

この宇宙望遠鏡は、短周期の太陽系外惑星、特に地球型惑星の探査と、太陽に似た恒星の振動を測定する星震学という、二つの主要な目的を持っていました。

主な目的と成果

COROTの主な目的は、以下の2点です。

系外惑星の探査：恒星の明るさを精密に観測し、惑星が恒星の前を通過する際に生じるわずかな減光（トランジット）を検出します。
星震学：恒星の脈動に伴う光度の変化を測定することで、恒星の質量、年齢、化学組成などを詳しく調べます。

COROTの最大の功績の一つは、2009[[年]]に発見されたCoRoT-7bという系外惑星です。これは、岩石や金属を主成分とする地球型惑星の最初の発見例であり、その後の系外惑星研究に大きな影響を与えました。

観測の開始と終了

COROTは2006[[年]]12月27[[日]]にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズロケットで打ち上げられました。ファーストライトは2007[[年]]1月18日に行われ、科学観測は同年2月2日に開始されました。

当初の計画ではミッション期間は2年半でしたが、その後2013[[年]]まで延長されました。さらに2016[[年]]までの延長も決定しましたが、2012[[年]]11月2日にコンピュータの故障により観測データを取得できなくなり、復旧を試みたものの失敗しました。

最終的にCNESは2013[[年]]6月24日にCOROTを引退させることを決定し、2014年6月17日に最後のコマンドが送信され、運用を終了しました。

観測の原理

COROTは、惑星が恒星の前を通過する際に生じるわずかな減光（トランジット）を捉えることで、系外惑星を検出します。このトランジット法は、惑星のサイズや軌道周期を測定するのに非常に効果的です。

また、COROTは恒星の明るさの微小な変化を精密に測定することで、恒星の内部構造や組成を研究する星震学にも利用されました。星震学は、恒星の脈動を解析することで、その質量、年齢、化学組成などを詳しく知るための手法です。

機体と観測機器

COROTの光学系は、地球からの迷光を抑制するように設計されており、2.7° × 3.05° の視野を持っています。観測には、4つのCCD検出器が使用されています。これらの検出器は、惑星探査用と星震学用の2つに分かれており、それぞれ異なる目的で使用されています。

機体の重量は630 kg、全長は4.10 m、直径は1.984 mであり、太陽電池パネルによって電力が供給されていました。

観測戦略

COROTは、軌道平面に対して垂直な方向を観測することで、地球による掩蔽を回避し、長期間の連続観測を可能にしていました。このような長期間観測（Long Runs）は、小さく長周期の惑星を検出するのに役立ちました。

長期間観測の間には、数週間にわたる短い観測（Short Runs）も行われ、異なる領域の恒星を観測しました。これは主に星震学のために利用されました。

データ処理ユニットの故障

2009[[年]]3月には、データ処理ユニットの故障により、観測視野が半分になるというトラブルが発生しました。しかし、残りのユニットで観測を続け、多くの成果を挙げました。

フォローアップ観測

COROTで検出された惑星候補は、地上からのフォローアップ観測によって確認されました。このフォローアップ観測では、測光観測や視線速度測定が行われ、惑星であることの確認と、その質量や組成の測定が行われました。

COROTによる発見

星震学と恒星物理

COROTは、星震学の分野でも大きな成果を上げました。恒星の微小な光度変化を捉えることで、恒星内部の構造や進化を詳細に調べることが可能になりました。

太陽以外の恒星での太陽に似た振動の初検出
赤色巨星での非動径振動の初検出
大質量星での太陽に似た振動の検出
たて座デルタ型変光星の数百もの周波数の発見
Be星のアウトバースト最中の周波数スペクトルの劇的な時間進化

太陽系外惑星

COROTは、数多くの太陽系外惑星を発見しました。その中には、地球の数倍の質量を持つスーパーアースや、木星のような巨大ガス惑星が含まれます。以下に、主な発見惑星をいくつか紹介します。

CoRoT-1b: COROTが初めて発見した惑星で、ホットジュピターに分類されます。その後の観測で、可視光での二次食が検出されました。
CoRoT-3b: 木星の22倍の質量を持つ天体で、褐色矮星と惑星の中間的な性質を持つと考えられています。
CoRoT-7b: 地球型惑星の最初の発見例であり、地球の1.7倍の半径と7.3倍の質量を持ちます。公転周期はわずか20.5時間です。
* CoRoT-9b: 軌道周期が95.3日と比較的長い、温かい惑星です。

その他の発見

COROTは、連星系の観測においても数多くの発見をしました。特に、潮汐力によって誘起される脈動や、連星の軌道運動による光度変化などを詳しく調べることができました。

まとめ

COROTは、系外惑星探査と星震学の分野において、数多くの重要な成果を上げた宇宙望遠鏡です。特に、地球型惑星であるCoRoT-7bの発見は、系外惑星研究に大きな影響を与えました。また、星震学の分野でも、恒星内部の構造や進化に関する貴重な情報を提供しました。

COROTのミッションは終了しましたが、そのデータは現在も研究に活用されており、宇宙の謎を解き明かすための重要な手がかりとなっています。

COROTの観測によって得られたデータは、今後の宇宙望遠鏡ミッションや、太陽系外惑星の研究に大きく貢献しています。

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