てんびん座

てんびん座について

てんびん座（てんびんざ、天秤座、英：Libra）は、黄道十二星座の一つとして広く知られています。この星座は、天文学の古典とも言えるトレミーの48星座の中に含まれています。天文学的には、その西側はおとめ座、東側はさそり座と接しています。

構成と特徴

てんびん座の特徴として、明るい星は2等級以下であり、目立つ星自体は存在しません。しかし、3つの3等星があり、これらが長方形の形を形成しています。特にα星とβ星はさそり座に由来する名前を持ち、この星座がかつてさそり座のはさみの一部であったことを示しています。具体的には、α星とβ星はてんびんの棒の部分を構成し、γ星とσ星はてんびんの皿にあたります。

主な恒星

てんびん座にはいくつかの重要な恒星があります。これらは国際天文学連合によって正式な名が付けられています。

• - α星：ズベン・エル・ゲヌビ (Zubenelgenubi)

アラビア語で「南の爪」を意味するこの星は、光学的な二重星で、条件が良ければ肉眼でも観察可能です。

• - β星：ズベン・エス・カマリ (Zubeneschamali)

てんびん座で最も明るい恒星で、アラビア語で「北の爪」を指します。実際は青白い輝きを持ちますが、緑色に見えることが多いです。

• - γ星：ズベン・エル・ハクラビ (Zubenelhakrabi)

この星の名前は「さそりの爪」という意味です。

• - σ星：ブラキウム (Brachium)

半規則型変光星で、変光の範囲が小さいため、肉眼での変化はわかりにくいです。

他にも、δ星は食変光星であり、グリーゼ570（HR 5568）は太陽系から19.3光年の距離、グリーゼ581では2012年時点で惑星が6個発見されています。また、HD 140283は発見されている恒星の中で最も古い年齢を持つ天体とされています。

由来と歴史

てんびん座は元々、さそり座の一部であったと考えられています。この星座が独立したのは紀元前1世紀ごろで、それ以降に正義の象徴としての役割を担ってきました。2世紀中頃、著名な天文学者クラウディオス・プトレマイオスは、その著書『アルマゲスト』の中で「爪」という言葉を用いてこの星座に触れています。古代ローマでは、昼夜の長さを平等に計る天秤としてのイメージが強かったようです。

神話

ギリシア神話において、てんびん座は正義と天文学の女神アストライアーが持つ天秤とされています。隣接するおとめ座がアストライアーを象徴する形をとっているという説も存在しています。正義を象徴するこの星座は、古代から現代まで、さまざまな文化で大切にされてきました。

このように、てんびん座は星座の中でも特に興味深い背景を持ち、天文学的な観点からも多くの魅力を内包しています。

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