とりかえ・ばや

『とりかえ・ばや』



『とりかえ・ばや』は、さいとうちほが手掛けた日本の漫画作品で、平安時代末期に成立した作者不詳の『とりかへばや物語』を原案としています。小学館の『月刊フラワーズ』にて2012年9月号から2018年1月号まで連載され、単行本は全13巻が刊行されています。2018年5月時点で、累計発行部数は300万部を突破しました。

作品概要



この作品は、性別を偽って生きる双子の兄妹、沙羅双樹と睡蓮を中心に展開します。彼らがそれぞれの性別で生きる中で、宮廷内での陰謀や愛憎劇に巻き込まれていく様子を描いています。物語は、単なる男女の入れ替わりという設定にとどまらず、主人公たちの心の葛藤や成長を繊細に描いており、読者の心を深く揺さぶります。

沿革



  • - 2012年7月、『月刊フラワーズ』で連載開始。開始号では、作者のさいとうちほと秋里和国による対談が掲載されました。
  • - 2014年7月、第2回フラウマンガ大賞にて「麗しの少女マンガ賞」を受賞しました。
  • - 2015年6月から8月にかけて、国立新美術館で開催された「ニッポンのマンガ＊アニメ＊ゲーム」展にて展示されました。
  • - 2016年、「SUGOI JAPAN Award 2016」にノミネートされました。
  • - 2017年11月、『月刊フラワーズ』2018年1月号で最終回を迎えました。
  • - 2022年2月、同誌4月号にてさいとうの画業40周年を記念し、外伝の読み切りが掲載されました。
  • - 2024年3月、同誌5月号にも外伝の読み切りが掲載されました。

あらすじ



物語は平安時代を舞台に、権大納言藤原丸光の二人の妻が同じ日に男女の双子を出産するところから始まります。生まれた女の子は「沙羅双樹の姫君」、男の子は「睡蓮の若君」と呼ばれ、大切に育てられます。しかし、成長するにつれて二人の性格は正反対に。活発な沙羅双樹は男の子のように外を駆け回り、内気な睡蓮は女の子のように人形遊びを好むようになります。

やがて、沙羅双樹の才能は帝の耳にも届き、沙羅双樹は男として元服、睡蓮は女として裳着の儀を行うことになります。ここから二人は、性別を偽りながら生きることを余儀なくされます。

主な登場人物



  • - 沙羅双樹（さらそうじゅ） / 藤原涼子（ふじわらのすずしこ）：
睡蓮の異母姉。男として育てられ、元服後は睡蓮の本名「藤原月光」を名乗ります。才気煥発で誠実な性格ですが、性を偽って生きることに苦悩します。

  • - 睡蓮（すいれん） / 藤原月光（ふじわらのつきみつ）：
沙羅の異母弟。女として育てられ、裳着の儀後は沙羅双樹の本名「涼子」を名乗ります。人見知りで男嫌いですが、聡明で優しい心を持っています。

  • - 藤原丸光（ふじわらのまるみつ）：
沙羅双樹と睡蓮の父親。権大納言であり、二人の子供たちの運命に心を痛めます。

  • - 藤原角光（ふじわらのかくみつ）：
丸光の兄で右大臣。娘たちの入内や自身の地位に執着しています。

  • - 朱雀院（すざくいん） / 先の帝：
退位した帝で、女東宮の父。吉野の宮と対立した過去があります。

  • - 帝（みかど）/ 先の東宮：
朱雀院の弟で、現帝。沙羅双樹を重用しています。

  • - 石蕗（つわぶき）：
帝の従兄弟で、プレイボーイ。沙羅双樹に興味を持ち、彼女を翻弄します。

  • - 女東宮（おんなとうぐう）/ 光子（みつこ）：
朱雀院の娘で、次期東宮。心優しい性格で、睡蓮に心を開きます。

  • - 梅壺の女御（うめつぼのにょうご）：
帝の妃。右大臣の次女。自身の地位に固執し、沙羅双樹と睡蓮を警戒しています。

  • - 麗景殿の女御（れいけいでんのにょうご）：
朱雀院の妃。右大臣の長女。穏やかな性格ですが、妹の四の姫を良く思っていません。

  • - 四の姫:
右大臣の四女。梅壺の策略で沙羅双樹と結婚させられるも、後に石蕗と関係を持ち子供を産む。

  • - 三の姫:
右大臣の三女。女東宮付きの尚侍。野心家で、帝の寵愛を得ようと画策する。

書誌情報



さいとうちほ 『とりかえ・ばや』 小学館〈flowersフラワーコミックスα〉 全13巻

各巻の発売日とISBNは以下の通りです。

  • - 2013年3月8日発売、ISBN 978-4-09-135077-0
  • - 2013年6月10日発売、ISBN 978-4-09-135340-5
  • - 2013年12月10日発売、ISBN 978-4-09-135588-1
  • - 2014年4月10日発売、ISBN 978-4-09-136108-0
  • - 2014年9月10日発売、ISBN 978-4-09-136246-9
  • - 2015年2月10日発売、ISBN 978-4-09-136805-8
  • - 2015年7月10日発売、ISBN 978-4-09-137432-5
  • - 2015年12月10日発売、ISBN 978-4-09-137774-6
  • - 2016年5月10日発売、ISBN 978-4-09-138397-6
  • - 2016年10月7日発売、ISBN 978-4-09-138677-9
  • - 2017年3月10日発売、ISBN 978-4-09-138898-8
  • - 2017年8月10日発売、ISBN 978-4-09-139426-2
  • - 2018年2月9日発売、ISBN 978-4-09-870034-9
  • - 『原画集付き限定版』同日発売、ISBN 978-4-09-159249-1

外部リンク



もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。