ミナミマグロ

ミナミマグロ（南鮪）

ミナミマグロ（学名: Thunnus maccoyii）は、スズキ目サバ科に属する魚で、南半球の中緯度海域に広く生息しています。特にインド洋では豊富に漁獲され、日本では「インドマグロ」という名称でも知られています。この魚は高級な食材として人気ですが、その一方で絶滅の危機に瀕している種でもあります。

特徴

ミナミマグロは、大きさが最大で全長245センチ、体重は260キログラムに達することがあります。これは、メバチやキハダと並ぶ中型のマグロに分類され、タイセイヨウクロ[[マグロ]]やクロ[[マグロ]]よりもやや小さいです。他のマグロ類に比べて、胸鰭は短く、第二背鰭には達しません。体は小さな鱗に覆われており、濃い藍色の背面と銀白色の側面、腹面が特徴的です。それぞれの鰭の色も特徴的で、第一背鰭は黄灰色、第二背鰭は赤褐色、小離鰭は黄色、尾鰭の付け根には黄白色の隆起線があります。

生態

ミナミマグロは太平洋、インド洋、大西洋の南半球で広く生息しています。主に南緯30度から60度の中緯度海域に多く見られ、比較的温暖な海域ではメバチやビンナガと共存しています。この魚は外洋の中層域を回遊し、小魚、甲殻類、頭足類などの小動物を捕食する肉食性です。繁殖はオーストラリア北西部やジャワ島の南方の温かい水域で行われ、水温20-30℃の表層水域で成魚や幼魚が観察されることが知られています。

人間との関わり

ミナミマグロは主に延縄や巻き網漁業で漁獲され、その多くは日本で消費されます。過去50年間で漁獲量が大きく変動し、1960年代には年間約5万トン、1980年代後半からは約2万トンとなっています。身は脂肪が豊富で、クロ[[マグロ]]に次ぐ高級食材として刺身や寿司に使用されています。しかし、漁獲の影響で個体数は劇的に減少し、1994年にはIUCNのレッドリストで「絶滅の危機に瀕する種」として記載されました。未来の予測では、100年以内に個体数が500匹未満になる可能性があります。

1994年には、日本、オーストラリア、ニュージーランドの三国によって「みなみまぐろ保存委員会」（CCSBT）が設立され、資源管理への取り組みが進められました。しかし、漁獲量の超過や、国際的な対立、非加盟国による漁獲の問題など、さまざまな課題も残っています。また、ミナミマグロを狙った漁網に特定の鳥類が掛かって事故に遭うことも問題視されています。さらに、ミナミマグロには水銀が微量ながら含まれており、特に妊婦には注意が必要です。厚生労働省は、摂取量の指針を示し、摂取は週に2回までに制限することを推奨しています。

資源保護の取り組み

日本では、大西洋まぐろ類保存国際委員会の取り決めに基づき、ミナミマグロの輸出には漁獲証明書や原産地証明書の提出が求められ、持続可能な資源管理が進められています。

以上のように、ミナミマグロは食文化に大きな影響を与える一方で、絶滅危惧種として保護が求められる存在です。その生態や人間との関わりを理解し、持続可能な利用を進めていくことが重要です。

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