アッカド

アッカド：メソポタミアを統一した帝国とその都

アッカドは、現在のイラク南部に位置するメソポタミア北部に栄えた都市、そしてその都市を中心とした帝国の名称です。シュメール文明の北に隣接し、西にはアッシリアが位置していました。アッカドの正確な位置は未だ特定されていませんが、チグリス川東岸、現代の都市サーマッラーとバグダッドの中間地点付近にあると考えられています。アッカド語を話すセム系民族が定住し、後に巨大な帝国を築き上げることになります。

アッカド帝国の興亡

紀元前2300年頃、サルゴン1世の登場によってアッカドの歴史は大きく変わります。それ以前のアッカドに関するアッカド語の記録は皆無です。伝統的にはサルゴン1世がシュメールとアッカドを統一した最初の支配者とされていますが、近年の研究では、彼の前身であるルガルザゲシ王の時代から既にシュメールの拡大が始まっていた可能性が示唆されています。しかし、サルゴン1世はこれをさらに推し進め、広大な領土を征服しました。アッカド帝国は地中海沿岸やアナトリア半島にまで勢力を伸ばし、メソポタミア地域における新たな勢力として台頭しました。

サルゴン1世の孫、ナラム・シン王の治世には、帝国はさらに拡大しますが、各地で反乱が頻発します。この時代、王権の神格化が始まり、ナラム・シン王自身の名前と神を表すサインが並記されるようになりました。しかし、ナラム・シン王の死後、アッカド帝国の力は衰え、各地の勢力が独立していきました。そして、紀元前2083年頃（低年代説）、グティ人によってアッカドは占領・破壊され、帝国は滅亡しました。

アッカドの遺産

アッカド帝国の滅亡後も、アッカドという名称、そしてアッカド語はその後世の歴史に大きな影響を与え続けました。シュメールとアッカドの地域を統合したバビロニアでは、アッカド語が公用語となり、バビロニアの王号には「シュメールとアッカドの王」という称号が用いられました。これは、単に「バビロニア王」を意味していました。アッシリアでも同様の称号が見られます。アッカドの名は、ペルシア帝国による征服まで長く用いられ続けました。

アッカド帝国の歴代君主

アッカド帝国を築き上げた主要な君主たちを以下に列挙します。

サルゴン1世
リムシュ
マニシュトゥシュ
ナラム・シン
* シャル・カリ・シャッリ

その後、紀元前2083年から紀元前2050年頃にかけてグティ王朝が成立し、アッカドはグティ人の支配下に置かれました。グティ朝の後、ウル第三王朝が成立します。

まとめ

アッカドは、メソポタミアの歴史において重要な役割を果たした都市であり、帝国でした。サルゴン1世によって築かれたアッカド帝国は、その広大な版図と高度な文明で知られています。しかし、内部の反乱や外部からの侵略により、比較的短期間で滅亡しました。それでもアッカド帝国とその文化遺産は、後のバビロニアやアッシリア文明に大きな影響を与え、古代オリエント史を語る上で欠かせない存在となっています。アッカドの遺跡の発掘調査は現在も続けられており、更なる歴史的知見が明らかになることが期待されています。

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