アメリカイヌホオズキ

アメリカイヌホオズキ

アメリカイヌホオズキ（亜米利加犬酸漿、学名: Solanum emulans）は、北アメリカ原産のナス科ナス属の一年草です。日本では、道端や空き地などに生える雑草として分布を広げています。

特徴

形態: 一年生の草本で、一部は短命な多年草としても存在します。茎は直立し、よく枝分かれして高さ40 - 80 cmになります。全体的にほとんど無毛です。
葉: 互生する単葉で、卵形から長卵形をしています。葉の質は薄く、全縁または数個の歯牙があります。
花: 夏に開花し、茎の途中から散形花序を出して2 - 4個の花をつけます。花冠は径4 - 5 mm程度で、淡紫色または白色を呈し、星形に5裂します。葯の長さは約1.5 mmです。
果実: 径5 - 9 mmの球形で、熟すと黒色になり、光沢を帯びます。全草にソラニンを含むため、食用には適しません。種子の長さは1.1 - 1.5 mmです。

分布

北アメリカ原産で、日本では1951年に兵庫県尼崎市で初めて確認されました。その後、北海道から九州にかけて分布を広げています。

イヌホオズキとの違い

アメリカイヌホオズキはイヌホオズキ（Solanum nigrum）によく似ていますが、以下の点で区別できます。

茎が細く、枝分かれして横に広がること
葉がやや狭く、質が薄く、鋸歯が少ないこと
花が2 - 4個で散形につき、花冠がわずかに小さいこと
果実に光沢があること
生育場所の好み：イヌホオズキが荒れ地に生えるのに対し、アメリカイヌホオズキはやや湿気の多い土地を好む傾向があること

果実以外の点でイヌホオズキとよく似ているため、区別が難しい場合があります。

注意点

全草にソラニンが含まれているため、誤って口にしないように注意が必要です。

参考文献

長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、157頁頁。ISBN 4-635-07001-8。
『写真で見る外来雑草』畜産技術協会、1995年、18頁頁。ISBN 4-88137-056-1。
岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2007年、94頁頁。ISBN 978-4-88137-135-0。
岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』（4版）全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2009年、97頁頁。ISBN 978-4-88137-146-6。

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