エチオピア・エリトリア国境紛争

エチオピア・エリトリア国境紛争の詳細

エチオピアとエリトリアの国境における紛争は、1998年5月6日に始まり、2000年6月18日まで続きました。この戦争は主に国境問題から発生しましたが、両国の首都を含む広範囲での攻撃が続いたため、規模が非常に大きく、民間人を含む数多くの犠牲者が出ました。この紛争はそれまでの20世紀の国家間紛争の中でも特に多くの死者を出した事例の一つとされています。

背景

エリトリアは、1961年から1991年にかけてエチオピアからの独立を求める戦争を経て、1993年に独立を果たしました。この独立に伴い、一時的に両国の関係は正常化しましたが、エリトリアが独自の通貨を発行し、エチオピアが内陸国となったことで、自国の港湾を利用する際の条件について意見の相違が生じ、両国の関係は再びぎくしゃくするようになりました。また、バドメ周辺の国境線も未確定であり、これが緊張の一因となっていました。

領土に関する主張

紛争の焦点となったバドメを含むエリアは、両国が領有権を主張していました。エチオピア側はバドメを含む南部のガシュ・バルカ地方などを主張し、エリトリアはティグレ州やアファール州の一部を領有権の対象としました。1998年にはエチオピア軍がバドメを占拠していました。

紛争の経過

戦争の引き金は、1998年の初めにバドメ付近でエチオピア民兵によるエリトリア軍の攻撃に起因していました。エリトリア軍は反撃を開始し、両国間の敵対行為がエスカレートしました。エリトリア側は、自軍の攻撃がエチオピアの侵略に対する正当防衛だと主張しましたが、国際連合にはその具体的な情報を報告していませんでした。

停戦とその後

2000年6月18日、アフリカ統一機構の仲介により、両国は停戦合意に達しました。この合意には即時停戦が含まれ、エチオピア軍は戦闘前の境界線まで撤退し、監視のための平和維持部隊が展開されることが決定されました。その後、国際連合安全保障理事会は、エチオピア・エリトリア派遣団（UNMEE）の活動を決定しました。

2002年には国境委員会が国境を確定し、バドメはエリトリアに帰属するとの決定が下されましたが、これを受けてエチオピアは異議を唱えました。従って、その後も両国間の緊張関係は続きました。

2007年以降の展開

2007年には、エリトリア軍による安全保障地帯への侵入が発生し、国連平和維持活動に対する妨害が見受けられるようになりました。最終的に、国際連合の支援は2008年に終了し、その後、両国間は緊張状態が続きました。2010年にはエチオピア側が越境攻撃を主張するなど、事態は根本的に解決されていませんでした。

しかし、2018年には新たに就任したエチオピア首相アビィ・アハメドがエリトリアとの関係改善の意向を示し、両国は互いに和平を進める道を歩み始めました。また、経済関係の実質的な再構築にも乗り出し、首脳レベルでの協議が行われるようになっていきました。これらは、アビィが行った努力によりノーベル平和賞を獲得する要因ともなりました。

なお、エチオピア内部では依然としてティグレ人民解放戦線との内戦が続いており、エリトリアは政府軍側に協力している状況です。これらの経緯は、エチオピア・エリトリア国境紛争の影響を現在も色濃く残しています。

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