エル・ヒガンテ

エル・ヒガンテ（ホルヘ・ゴンサレス） - 超巨人の軌跡

1966年1月31日、アルゼンチンに生まれたホルヘ・ゴンサレス。並外れた身体能力の持ち主で、出生時は体重6キロ。10歳で175cm、14歳で193cmと、驚異的な成長を遂げました。その恵まれた体格を生かし、アルゼンチンでは歴代最高の身長を誇るバスケットボール選手として活躍、ナショナルチームにも所属し、1986年のFIBA世界選手権に出場するなど、華々しい経歴を築きました。

しかし、1988年のNBAドラフトでアトランタ・ホークスに指名されたものの、NBAでの活躍は叶わず、膝の負傷も影響して現役を引退。その後、転機が訪れます。WCW（World Championship Wrestling）のスカウトから声がかかり、プロレスラーへの転身を決意したのです。

WCWでは、スペイン語で「巨人」を意味するリングネーム、エル・ヒガンテとして1990年7月7日にデビュー。アンドレ・ザ・ジャイアントを凌ぐ巨体とベビーフェイス（善玉レスラー）としての立ち位置で、瞬く間に人気を集めました。リック・フレアーのNWA世界ヘビー級王座にも幾度と挑戦するなど、WCWの中心選手として活躍します。

新日本プロレスにも参戦

1991年には新日本プロレスの東京ドーム大会に初参戦。その後も度々来日し、獣神サンダー・ライガーとの異色のタッグ結成など、日本マットでもその存在感を示しました。1992年には東京ドームでビッグバン・ベイダーと対戦するなど、数々の名勝負を繰り広げています。

WWFでの活躍と転落

1993年、WWF（World Wrestling Federation、後のWWE）に移籍。リングネームをジャイアント・ゴンサレスに変更し、ヒール（悪役レスラー）として転向。マネージャーにハービー・ウィップルマンを迎え、異様なコスチュームで登場。ジ・アンダーテイカーとの抗争が大きな話題を呼びました。レッスルマニアIXではアンダーテイカーをクロロホルムで昏睡状態にするなど、強烈なインパクトを与えました。しかし、サマースラム'93でアンダーテイカーに敗れ、ウィップルマンとも決別。ベビーフェイスに転向しますが、同年10月にWWFを離脱することとなります。

日本を主戦場に

WWF退団後は再びエル・ヒガンテとして活動。新日本プロレスを中心に活躍し、1994年には福岡ドームで安田忠夫と対戦。その後もグレート・ムタ、天龍源一郎など、日本のトップレスラーたちと幾度となく激突します。WARにも参戦し、北尾光司とのタッグを組むなど、日本マット界に大きな足跡を残しました。

引退と晩年

1996年、坐骨神経痛のため惜しまれつつ引退。アルゼンチンに帰国後は、糖尿病と闘いながら車椅子生活を送っていました。そして2010年9月22日、44歳の若さでこの世を去りました。

エル・ヒガンテことホルヘ・ゴンサレス。その巨体と類まれな才能は、プロレス史に燦然と輝く一ページを刻みました。彼の残した数々の伝説は、多くのプロレスファンたちの記憶に永遠に刻み込まれていることでしょう。

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