オペル・マンタ

オペル マンタ：ドイツが生んだクーペの系譜

オペル マンタは、1970年から1988年にかけてドイツの自動車メーカー、オペルによって生産されたクーペタイプの乗用車です。当時人気を博していたフォード・カプリに対抗するモデルとして開発され、そのスタイリッシュなデザインと、モータースポーツにおける活躍によって広く知られるようになりました。

初代マンタA (1970年 - 1975年)

1970年9月、フォード・カプリに対抗馬として初代マンタAが登場しました。姉妹車であるアスコナAと共通のエンジンや足回りを持つなど、機構面ではオーソドックスな設計でした。しかし、マンタ最大の特徴はそのスタイリングにありました。日本人デザイナーも参加したデザインは、カプリよりもシンプルで洗練されたラインが特徴です。高性能版のGT/Eなど、いくつかのバリエーションが用意されましたが、カプリのような派手なホットモデルは存在せず、比較的落ち着いた印象の車でした。日本には東邦モーターズを通じて輸入販売されました。

特殊モデル：TE2800とD.O.T.ターボ・マンタ

マンタをベースとした、チューニングモデルも存在しました。ベルギーのチューナー、トランスヨーロッパ・エンジニアリング社は、オペルのアドミラルやコモドーレに搭載されていた2.8リットル直列6気筒エンジンを搭載したTE2800を開発しました。よりパワフルなエンジンを搭載するために、ボンネットはグラスファイバー製となり、フェンダーには張り出しが設けられました。一方、イギリスのチューナー、トニー・ホールは、ホルセット製ターボチャージャーを搭載したD.O.T.ターボ・マンタを開発しました。これは、英国内のオペルディーラー網「Dealer Opel Team」にちなんだ名称です。

2代目マンタB (1975年 - 1988年)

1975年8月、マンタはアスコナと同時にモデルチェンジを行い、マンタBへと進化しました。初代と同様にシンプルなボディラインを踏襲しつつ、ボディサイズはやや大型化されました。搭載エンジンやメカニズムは初代モデルとほぼ共通でした。1977年には3ドアのCC（コンビ・クーペ）が追加され、エンジン排気量も変更されました。アスコナがFF化されてモデルチェンジした後も、マンタBは1982年にマイナーチェンジを受け、1988年まで生産が継続されました。日本への正規輸入は当初、排出ガス規制のため見送られましたが、1983年から輸入が再開されました。1988年に生産終了となり、後継車種としてカリブラが登場しました。

マンタ400iとモータースポーツ

世界ラリー選手権（WRC）グループ4への参戦を目指して、アスコナ400のマンタ版としてマンタ400iが1981年3月に登場しました。コスワースがチューニングした2410cc直列4気筒DOHC16バルブエンジンは、最大出力340psに達しました。足回りのチューニングはイルムシャーが担当しました。オペルのワークスチーム「GM・ユーロハンドラー」はマンタでWRCに参戦し、一定の成績を残しました。その後もプライベーターによる活躍が続き、ニュルブルクリンク24時間レースにも参戦し、2010年まで参戦しました。レギュレーション改定後も、主催者特別枠で参戦を続け、2015年にはクラス優勝を果たしました。2021年と2022年は車両トラブルのため欠場しましたが、2023年には修復され、レースに復帰しています。

まとめ

オペル マンタは、スタイリッシュなデザインとモータースポーツでの活躍によって、多くのファンを魅了したクーペでした。その歴史と性能は、現在でも多くの自動車ファンに語り継がれています。

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