オートミール

オートミールとは

オートミールは、エンバク（燕麦、オート麦）を脱穀し、調理しやすいように加工した食品です。アングロアメリカでは、押し潰すかカットした燕麦加工品を指し、粥状に調理したものを指すこともあります。一方、その他の英語圏では、燕麦を挽いた粉製品を意味します。

オートミールの種類

オートミールは、加工方法によっていくつかの種類に分けられます。

トラディショナル: 粒をそのまま残したタイプ
クイッククッキング: ひきわりタイプ
インスタント: さらに細かく加工したタイプ
オートミールパウダー: パウダー状に加工されたもの

オートミールの特徴

オートミールは、全粒穀物であるため栄養が豊富です。水や牛乳、豆乳などで煮て粥状にして食べるのが一般的ですが、料理の副材料や化粧品などの添加物としても利用されます。乾燥状態から短時間で調理できるため、朝食用のシリアルとしても人気があります。

粥状にして食べる際は、塩、砂糖、バター、ジャムなどを加えて味を調えます。中華粥のように味付けしたり、具材を混ぜ込んで調理することも可能です。塩だけで調味すると、粘り気のある白粥のような味わいになります。

近年、日本ではオートミールを牛乳や豆乳に浸して一晩置く「オーバーナイトオーツ」が人気を集めています。また、オートミールに甘味料と植物油を加えてオーブンで焼けば、グラノーラになります。水や牛乳でふやかし、果物やナッツを混ぜたシリアル食品はミューズリーと呼ばれます。

菓子の材料としても利用され、パン、クッキー、ケーキの生地に混ぜ込まれることで、しっとりとした食感と歯ごたえを与えます。オートミールクッキーやオートミールマフィンは、アメリカでは定番の家庭料理です。

オートミールから水溶性食物繊維が豊富な外皮を取り出したものは「オートブラン」と呼ばれ、アメリカなどで販売されています。

主な調理方法

オートミールは、ヨーロッパの寒冷な地域で古くから主食として親しまれてきました。東欧の家庭料理であるカーシャは、オートミールで作られることが多いです。

伝統的なオートミール・ポリッジの作り方

1. 鍋に水と塩を入れ、中火にかける。
2. 木べらなどでかき混ぜながら、オートミールを加える。
3. 粥状になるまでかき混ぜ続け、弱火で10分ほど煮る。
4. 粗挽きオートミールを一晩塩水に浸けてから煮る方法もあります。

オートミールをお湯でふやかし、電子レンジで加熱して粥状にし、好みの食材でアレンジする方法も手軽です。

スコットランドでのオートミール

スコットランドでは、冷涼な気候が燕麦栽培に適しており、オートミールが広く利用されています。挽き具合によって、「粗挽き」「ピン」「細挽き」に分けられます。

スコットランド料理のスカーリーやミーリープディングの主な材料であり、羊の血、塩、胡椒と混ぜてハイランド・ブラックプディング（ブラッドソーセージ）を作ることもあります。アウターヘブリディーズ諸島では、オートミールを脂肪、水、玉葱、調味料と混ぜて羊の腸に詰めたホワイトプディングの一種である「マラグ・ギール」が作られています。

アメリカ合衆国でのオートミール

アメリカでは、インスタントオートミール、ロールドオーツ、スティールカットオーツなどの種類があります。

オートミールのポリッジは、子供向け教育番組『セサミストリート』に登場するバートの好物として知られています。チリコンカーンにとろみをつけるためにオートミールを用いることもあります。

バーモント州は、一人当たりのオートミール消費量が全米一であり、伝統的な農家の朝食として、スティールカットオーツを長時間煮込んだオートミールが食べられています。

テキサス州にはオートミールという名前の小さな町があり、毎年オートミール祭りが開催されます。

健康食品としてのオートミール

近年、オートミールは健康食品として注目されています。食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富で、血中コレステロール濃度の低下や血糖値上昇の抑制、血圧低下などの効果が報告されています。

コロナ禍とオートミール

2020年のコロナ禍において、オートミールの需要が急増しました。巣ごもり生活による健康意識の高まりや、インフルエンサーによる紹介などが人気の理由として挙げられています。クックパッドの「食トレンド大賞2020」にも選ばれました。

2023年には売れ行きが落ち着いたものの、コロナ禍以前と比較すると依然として高い水準を維持しており、オートミールが人々の食生活に定着しつつあることが伺えます。

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