グランディ

グランディ：輝ける現役時代と種牡馬としての苦悩

グランディは、アイルランド生まれの競走馬であり、種牡馬として名を馳せました。その生涯は、華々しい勝利と予想外の挫折の両面を併せ持つ、ドラマチックなものでした。

輝かしい現役時代

2歳時にはデビューから4連勝という快挙を達成し、G1デューハーストステークスではスティールハートなどの強豪を破って優勝。クラシック戦線での活躍が期待されました。3歳になると、調教中のアクシデントで鼻骨を骨折するという不幸に見舞われます。それでも、グリーナムステークスと2000ギニーで2着と好成績を収めると、続くアイリッシュ2000ギニー、ダービーステークス、アイリッシュダービーと、主要クラシック競走を次々と制覇しました。

最大のハイライトは、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでの勝利でしょう。当時の古馬最強馬と謳われたバスティノとの対戦は、激戦の末、グランディが半馬身差で勝利を収めました。このレースで記録された2分26秒98という驚異的なタイムは、35年間もの間、イギリス競馬界の金字塔として君臨しました。このレースは「世紀のレース」と称賛され、イギリス競馬史にその名を刻むこととなりました。しかし、この大一番で力を使い果たしたのか、その後は一度のレースに出走したのみで、3歳で現役を引退しました。

種牡馬としての栄光と挫折

1976年、グランディはイギリスナショナルスタッドで種牡馬としてのキャリアをスタートさせました。3頭のG1優勝馬を輩出するなど、種牡馬としても一定の成功を収めました。引退間近のハギノトップレディへの種付けも行われています。しかし、現役時代の輝かしい実績から期待されたほどの成果を上げることができず、1983年には約7億円という高額で日本中央競馬会に売却されました。

日本へ渡ったグランディには、欧州最強馬という触れ込みと、すでにクラシック優勝馬を輩出している実績から、大きな期待が寄せられました。当初は多くの良血繁殖牝馬がグランディに集まりましたが、産駒の多くは芝の長距離に特化したタイプで、日本の馬場との相性に問題があったようです。結果、中央競馬においては重賞勝ち馬どころか、オープン馬すら輩出できませんでした。ダート適性も無かったため、地方競馬でも重賞勝ち馬を出すことができず、日本での種牡馬生活は不振に終わりました。北海道での需要が無くなると、栃木県、そして鹿児島県へと繋養地を転々と移りましたが、晩年は鹿児島ですら繁殖牝馬を集めることができなくなりました。そして、1992年春、グランディは病死しました。

代表的な産駒

グランディは、日本国外ではバイリーム（オークス）、リトルウルフ（ゴールドカップ）、カートリング（イタリア大賞典）など、G1競走を制した競走馬を輩出しました。日本においては、重賞競走で好成績を収めた産駒は少なかったものの、ショウリュウガロン（東海ダービー2着）や、中央競馬で複数勝を挙げたワンダーワーロック、トップポジションなどが存在します。

血統とその後

グランディの全弟であるセンチュリアスは、イギリスGIII競走を制し、1982年のジャパンカップに出走しました。グランディ自身は、その華々しい現役時代とは対照的に、種牡馬としては苦悩の道を歩むこととなりました。彼の生涯は、競走馬としての成功と種牡馬としての挫折という、両極端な側面を持つ、競馬史における興味深い一例と言えるでしょう。

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