バスティノ

バスティノ：栄光と悲劇の競走馬

1971年生まれのサラブレッド競走馬、バスティノ。その名は、イギリス競馬史に燦然と輝くだけでなく、数々のドラマを彩った存在として記憶されています。チャンピオン競走馬としてだけでなく、種牡馬としても成功をおさめたバスティノの生涯を紐解きます。

華麗なるデビューと若き日の活躍

バスティノは、1967年のイギリス年度代表馬バステッドと繁殖牝馬シップヤードを両親にもつ名門サラブレッドでした。母系は名牝ローズレッドに遡る由緒正しい血統で、エプソムダービー馬ラークスパーなど、数々の名馬を輩出してきた一族です。

1歳時にはニューマーケットのセールに出品され、ビーヴァーブルック夫人の代理人であるゴードン・リチャーズとディック・ハーン調教師によって高額で落札されました。ビーヴァーブルック夫人は、7文字の名前をつけるという独特の命名で知られ、バスティノもその一員でした。

2歳時は多くレースに出走せず、ヨークのエーコムステークスで3着という結果に終わりました。しかし、3歳になるとその才能が開花します。サンダウンクラシックトライアルとリングフィールドダービートライアルを連勝し、ダービーでは4着と健闘しました。続くパリ大賞典では2着、グレートヴォルティジュールステークスでは圧勝。そして、セントレジャーでは本命に応え、優勝を果たしました。この活躍により、1974年のイギリス最優秀3歳馬に選ばれました。

「世紀のレース」と突然の引退

4歳時、バスティノはコロネーションカップでレコードタイムでの優勝を飾ります。そして、運命のキングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドステークスへ。このレースは、ダリア、シュターアピール、そしてダービー馬グランディなど、錚々たるメンバーが揃った、まさに「世紀のレース」でした。

レースは、激しいデッドヒートとなりました。終盤、バスティノはグランディと壮絶な競り合いを展開。僅差でグランディに敗れましたが、その激闘は競馬史に刻まれる名勝負となりました。このレースのタイムは、イギリスにおける1.5マイルの最速記録を更新するものでした。しかし、このレースがバスティノの最後の競走となりました。レース後、前足の腱の故障が判明。引退を余儀なくされたのです。凱旋門賞への出走が期待されただけに、ファンには大きな衝撃でした。

種牡馬としての成功

競走馬としてのキャリアを終えたバスティノは種牡馬として大成功を収めます。その産駒には、コロネーションカップを制したイースターサンや、セントレジャーで3着に入ったバストミなど、数々の活躍馬がいました。特に、ハイトオブファッションは、ナシュワンやネイエフ、そしてリーディングサイアーとなったアンフワインの母として、その血統を広めました。バスティノは、多くの成功馬の母の父となり、イギリス・アイルランドのリーディングブルードメアサイアーにも輝いています。

バスティノの評価

タイムフォームのレーティングでは136と高評価を得ています。また、『A Century of Champions』では20世紀最高の競走馬としてランクイン。競走馬としての華麗な活躍と種牡馬としての成功は、バスティノがいかに偉大なサラブレッドであったかを証明しています。その短いながらも輝かしい競走生活、そして種牡馬としての功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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