ゴリス

アルメニアの古都ゴリス：歴史、文化、自然が織りなす魅力

ゴリス（Goris）は、アルメニアのシュニク地方に位置する都市であり、その歴史は古代にまで遡ります。多様な呼び名を持ち、時代とともにその姿を変えてきました。首都エレバンから南東へ約240km、地方の中心都市カパンからは約70kmの距離にあり、ゴリス川（ヴァララク川）が刻む谷間に開かれたこの街は、豊かな自然と歴史的な遺産に彩られています。

気候と自然

ゴリスは高山気候に属し、四季折々の表情を見せます。冬は比較的温暖で降雪も少ないですが、夏は過ごしやすい暑さとなります。1月の平均気温は-1.3℃、7月は19℃で、年間降水量は約700mm。この恵まれた気候が、高品質なフルーツウォッカの生産を支えています。

歴史

ゴリスの歴史は古く、石器時代から人々の生活が営まれていました。紀元前8世紀には、ウラルトゥ王ルサ1世が征服した「ゴリスツァ」という国が、ゴリスの前身ではないかと考えられています。クセノポンの「アナバシス」には、紀元前401年にギリシャ兵がこの地で洞窟に住む人々を目撃したという記述があります。

中世には、現在の市街地の東側、ゴリス川の左岸に集落が形成されました。17世紀には「Goris」という綴りが初めて文献に登場し、18世紀にはメリク・フセニャンスがこの地を支配しました。1813年のゴレスターン条約によりロシア帝国領となり、1870年代にはザンゲズル地方の中心都市として発展。19世紀末には経済と文化が大きく発展しました。

1921年には、山岳アルメニア共和国の事実上の首都となり、激動の時代を経験しました。

文化と教育

ゴリスは、文化と教育の中心地でもあります。作家アクセル・バクンツの博物館や地域地質博物館、劇場などがあり、市民の文化的な活動を支えています。また、シュニク地方の教育の中心地として、多くの学校や教育機関が集まっています。1967年にはゴリス国立大学が開校し、高等教育の拠点となっています。

市街地近郊のクンドゾレスクへの道沿いには、18世紀に建てられたメリクの邸宅が残されており、歴史的な景観を今に伝えています。

スポーツ

ゴリスには、サッカークラブ「ザンゲズル・ゴリス」が本拠地を置いており、市民に親しまれています。

ゴリスの見どころ

洞窟住居: 岩山をくりぬいて作られた洞窟住居は、ゴリスの歴史を象徴する存在です。現在も保存されており、古代の人々の生活を垣間見ることができます。インド・ヨーロッパ語族の言葉で「岩場」を意味する地名も、この洞窟住居に由来すると言われています。
高品質なフルーツウォッカ: ゴリスで作られるフルーツウォッカは、その品質の高さで知られています。豊かな自然と伝統的な製法が生み出す、芳醇な味わいをぜひお試しください。
* アクセル・バクンツ博物館: ゴリス出身の作家、アクセル・バクンツの生涯と作品を紹介する博物館。彼の文学世界に触れることができます。

ゴリスは、その豊かな歴史、文化、自然が調和した魅力的な都市です。アルメニアを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

もう一度検索