ゴング

ゴング（gong）

ゴングは、体鳴楽器に分類される打[[楽器]]の一種で、音程を持つ銅鑼として知られています。金属製の円盤状の楽器で、中心部が丸く盛り上がっているのが特徴です。この形状が、タムタムとの大きな違いを生み出し、明確な音程を奏でることを可能にしています。

タムタムとの違い

ゴングとタムタムは、どちらも金属製の打[[楽器]]ですが、最も大きな違いは音程の有無です。ゴングは、中心部の突起によって音程が明確に認識できるのに対し、タムタムは音程が不明瞭です。ただし、金属製の鉢状の形状を持つゴングも存在するため、全てのゴングに突起があるわけではありません。

作曲家によっては、ゴングとタムタムを混同して使用する場合があります。区別の目安としては、楽譜に具体的な音程の指定がない場合は、タムタムが使用されると考えると良いでしょう。例えば、マーラーの交響曲第2番では、高い音と低い音のタムタムが指定されていますが、具体的な音程は示されていないため、この場合はサイズの異なるタムタムを使用します。

ゴングの発祥は東南アジアとされ、中国を起源とするタムタムとは異なる歴史を持っています。

ゴングの種類

ゴングには様々な種類があり、それぞれの文化や音楽で独自の役割を果たしています。

ゴン・グデ（gong gedé）：インドネシアのガムランで使用される大型のゴングです。
クンプル（Kempur）：インドネシアのガムランで使用される中型のゴングです。
ボナン、ボナン・バルン：インドネシアのガムランで使用される小型のゴングを並べたもので、主要旋律や装飾的な旋律を担当します。
コーン・ウォン・レク（gong wong lek）、コーン・ウォン・ヤイ（gong wong yai）：タイの組ゴングで、音域が高い方がレク、低い方がヤイと呼ばれます。
御鈴（おりん）：日本の仏教で使用されるゴングです。
当たり鉦（あたりがね）：日本の歌舞伎や祭りで使用されます。
クロマチック・ゴング：半音階を奏でられるように組み合わせられたゴングです。
銅鑼：英語圏ではゴングとして扱われることもあります。

奏法

ゴングは、通常、中心の突起部分を撥で叩いて演奏します。これにより、明瞭な音程を持った響きを得ることができます。中心から離れた平面を叩いても音は鳴りますが、はっきりとした音色は得られません。撥は、一般的な打[[楽器]]用のマレットのほか、大型のゴングには専用の太い撥を使用します。

使用楽曲

ゴングは、その独特な音色から、様々な音楽作品で使用されています。

プッチーニ：オペラ『蝶々夫人』（gong giapponese（日本のゴング）という名称で使用）
プッチーニ：オペラ『トゥーランドット』
リヒャルト・シュトラウス：皇紀2600年祝典音楽（初演時に、音程の合う御鈴を集めて演奏）
リヒャルト・シュトラウス：オペラ『影のない女』
真島俊夫：鳳凰が舞う～印象：京都、石庭、金閣寺～

その他の利用

ゴングは音楽以外にも、以下のような様々な場面で利用されています。

格闘技

ボクシングやプロレスなどの格闘技の試合では、ラウンドや試合の開始・終了を知らせるためにゴングが使用されます。引退試合や追悼式では、10回鳴らす「テンカウントゴング」がクライマックスを飾ります。これは、ボクシングでノックダウンされてから10数える間に立ち上がれないと負けになることに由来します。

使用されるゴングは、直径30cm前後の真鍮製の深皿を伏せた形状で、木槌で叩いて鳴らします。ヨーロッパでは、ゴングの代わりに鐘が使用されることもあります。また、資金の限られた団体では、日用品を改良してゴングの代わりに使用することもあります。一方、新北京プロレスでは、演出としてゴングの代わりに銅鑼を使用していたこともあります。

UFCでは、ラウンド終了はゴングではなくブザーで知らせます。プロフェッショナル修斗やパンクラスでは、ラウンドの開始・終了にホーンを使用します。

船舶

船舶では、船員の食事や集合、出港時の見送りの人々の退船を促す合図としてゴングが使用されていました。

鉄道車両

路面電車では、警音器として足踏み式のゴングが装備されていた時代がありました。

脚注

出典

網代啓介、岡田知之著 『新版 打[[楽器]]事典』 音楽之友社、1994年

関連項目

ベトナム中央高原におけるゴングの文化的空間 - ユネスコ無形文化遺産

参考文献

網代啓介、岡田知之著 『新版 打[[楽器]]事典』 音楽之友社、1994年

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