コンビニスイーツ

コンビニスイーツの隆盛

コンビニエンスストア（以下、コンビニ）で販売されるスイーツ、通称「コンビニスイーツ」は、今や私たちの生活に欠かせない存在です。1990年代頃からコンビニ各社が独自に開発・販売を始め、その手軽さとクオリティの高さから、幅広い層に支持されています。本記事では、コンビニスイーツの歴史、各社の取り組み、そして話題になった商品について詳しく解説します。

コンビニスイーツの誕生

1990年代、日本ではティラミスブームが起こり、コンビニでもチルドデザートコーナーが設置されるようになりました。その後、ナタデココブームを経て、手頃な価格で買えるコンビニデザートが人気を集めるようになります。1990年代半ばには、ファミリーマートがオリジナルデザートの開発に先鞭をつけ、セブン-イレブンもそれに続きました。2000年代後半には、ロールケーキやバスクチーズケーキなど、コンビニスイーツとして大ヒットした商品も登場し、その人気は不動のものとなりました。

各社の展開

ファミリーマート

ファミリーマートは、1990年代半ばからオリジナルデザートの開発に力を入れてきました。2003年には「こだわり仕立てのデザート屋さん」ブランドを立ち上げ、2006年には「スイーツプラス (Sweets+)」としてリニューアル。女性向けのデザート開発に力を入れ、果物系のゼリーや甘さ控えめのスイーツが人気を集めました。また、2007年には「男のスイーツ」シリーズを開始。チョコレートやコーヒーを使った、男性向けのスイーツも展開しています。

ローソン

ローソンは、2009年に「ウチカフェスイーツ」を開始。女性客をターゲットにしたスイーツのラインナップで、特に「プレミアムロールケーキ」が大ヒットしました。クリームの品質にこだわり、200種類以上を試作して開発されたというエピソードは有名です。また、2019年には「バスクチーズケーキ」も発売し、プレミアムロールケーキを上回る売れ行きを記録しました。

サークルKサンクス

サークルKサンクスは、2007年に「シュリエドルチェ」を立ち上げました。手軽に食べられるハンディ系、カップ系、ケーキ系の3つのラインを中心に開発・販売を開始しました。特に2010年に発売された「天使のチーズケーキ」は、発売4ヶ月で500万個を売り上げる大ヒット商品となりました。2014年秋には、顧客層を3タイプに分け、和菓子の開発強化も行うなど、積極的な商品展開を行っていましたが、2017年2月にファミリーマートとの統合に伴い、販売を終了しました。

セブン-イレブン

セブン-イレブンは、2003年に自社工場を確保し、2008年には「なないろカフェ」を立ち上げました。2014年末からは、セブンカフェのコーヒーと一緒にドーナツを販売する戦略を展開し、話題となりました。2022年にはスイーツ商品の全面刷新を発表し、「街のスイーツ屋さんを目指す」として、さらなる進化を続けています。

ミニストップ

ミニストップは、ソフトクリームが主力商品です。日本で初めて店内で作るソフトクリームを販売したコンビニとしても知られています。「ソフトクリームマイスター」制度を導入するなど、ソフトクリームへのこだわりは非常に強く、2005年には年間3000万個のソフトクリームを販売しました。フルーツパフェなど、ソフトクリームを使ったデザートも人気です。

スリーエフ

スリーエフは、1995年から「オンブラージュ」というスイーツブランドを展開。2010年にはアイドルが監修したスイーツを販売するなど、話題性のある商品も販売していました。2013年にはデザート類を「FSTYLE」に統合し、「もちぽにょ」がヒット商品となりました。

セイコーマート

セイコーマートは、北海道産の素材を使ったスイーツ開発に力を入れています。「ぷち茶房」の大福シリーズは人気が高く、もち米やあずきも北海道産のものを使用しています。

話題になった商品

ロールケーキ

2009年にローソンの「プレミアムロールケーキ」が大ヒット。それまでコンビニではあまり重視されていなかったクリームの品質にこだわり、製法も工夫することで、他社との差別化に成功しました。その後、各社もロールケーキを販売し、コンビニスイーツの定番となりました。

バスクチーズケーキ

2019年にローソンが発売した「バスクチーズケーキ」も大ヒットし、コンビニ各社が追随しました。

ドーナツ

2014年末から2015年にかけて、コンビニ各社がコーヒーと一緒に購入するドーナツを販売し、「ドーナツ戦争」と呼ばれる状況になりました。セブン-イレブンは「セブンカフェ」との相乗効果を狙いましたが、長期的には売れ行きが低迷し、ドーナツ販売戦略の転換を余儀なくされました。

クロナッツ

2014年には、クロワッサンのような生地をドーナツのようにした「クロナッツ」もブームとなり、各社が販売しました。

温めて食べるスイーツ

ローソンが温めて食べる「HOTぜんざい」を発売して以降、フォンダンショコラなど、温めて食べるスイーツも人気を集めています。

和菓子

コンビニでは、洋菓子だけでなく和菓子も販売されています。2004年にセブン-イレブンがチルド和菓子をラインナップに加えて以降、各社が和菓子の開発に力を入れています。

イートインのソフトクリーム

ミニストップがイートインのソフトクリームを始めたコンビニとして有名です。ローソンもワッフルコーンのソフトクリームを発売し、人気を集めました。

コンビニスイーツの受容

コンビニスイーツは、手軽に買える一方で、専門店のスイーツに劣らないクオリティが評価されています。2023年の調査では、スイーツを購入する場所として、コンビニはスーパーに次ぐ第2位となっています。特に10代、20代ではコンビニでの購入率が高く、夜の時間帯によく売れる傾向があります。

ターゲット層とジェンダー

コンビニスイーツは、「専門店の対面では買いづらい」という男性客にも受け入れられました。一方で、2000年代後半には女性をターゲットにした商品も増え、ローソンの「ウチカフェスイーツ」は、女性客の人気を獲得しました。

まとめ

コンビニスイーツは、各社の競争と工夫によって、目覚ましい進化を遂げてきました。手軽に買えるだけでなく、味や品質にもこだわり、常に新しい商品が生まれています。今後も、コンビニスイーツは私たちの生活に彩りを与えてくれるでしょう。

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