シネカノン

株式会社シネカノンについて

株式会社シネカノン（cinequanon）はかつて日本に存在した独立系の映画会社です。この会社は映画の制作や配給、映画館の運営、さらに飲食業務と多岐にわたる事業を展開していました。1989年の設立以来、多くの印象的な作品を世に送り出し、特に『月はどっちに出ている』や『パッチギ!』、『フラガール』といった作品は高い評価を得ています。シネカノンの社名は、ラテン語の「sine qua non」（絶対に欠かせないもの）と「cine」（映画）を組み合わせた造語であり、映画に対する並々ならぬ情熱を象徴しています。しかし、2010年には経営破綻し、東京地裁に民事再生法の適用を申請した経歴があります。

沿革の概要

シネカノンは1989年に李鳳宇（リ・ボンウ）によって設立され、初の映画配給としてポーランド映画『アマチュア』を取り扱いました。1990年には朝鮮映画祭を企画し、1992年には北朝鮮と日本の合作映画『バード』の制作に成功します。1993年に制作した『月はどっちに出ている』は大ヒットし、シネカノンの知名度を大いに高めました。

1995年にはアミューズと共同で「アミューズシネカノン」を設立しています。シネカノンはまた、2000年に韓国映画『シュリ』を配給し、興行収入18億5000万円という驚異的な成果を達成しました。シネカノンは日韓合作映画『KT』の制作を通じて国際的な展開も図り、さまざまな作品を世に送り出していきました。

シネカノン・ファンドについて

2006年には映画製作資金を確保するため、「シネマ信託〜シネカノン・ファンド第1号〜」を開始しました。このファンドは、日本最大規模の映画ファンドで、一般投資家が関与できる仕組みでした。シネカノンはその知的財産権を「ジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社」に信託して運用し、投資家に収益を分配する形式を取りました。しかし、信託会社は2009年には金融庁からの行政処分を受け、信託免許が取り消されるなどの問題が生じました。

経営の終焉

2010年にシネカノンは47億300万円の負債を抱え、東京地裁に民事再生法の適用を申請します。この時、70の著作権作品が「ジェイ・シネカノン」に譲渡されるなど、企業の再編を余儀なくされました。これによって、シネカノンの劇場運営に影響を与える結果となり、その後いくつかの映画館は他社に継承されることになりました。

映画館運営の状況

シネカノンが運営していた映画館には、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷、角川シネマ有楽町などがありますが、随時閉館したり、他社に運営が引き継がれるなどの変遷がありました。かつて存在した映画館のうち、銀座シネ・ラ・セットや渋谷シネ・ラ・セットは2000年代に閉館しました。

シネカノンの legacy

シネカノンは日本映画界において非常に重要な役割を持っていました。多くのヒット作品や革新的な試みを生み出し、日本の映画文化の発展に寄与してきたのです。経営の厳しさや社会の変化によりその歴史に幕を下ろしましたが、シネカノンによって生み出された作品や愛された映画館は、多くの映画ファンにとって忘れられない存在であり続けています。

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