スルファメトキサゾール

スルファメトキサゾール（SMX）：作用機序、効果、副作用、使用上の注意点

スルファメトキサゾール（Sulfamethoxazole、略称：SMX）は、細菌の増殖を抑制するスルホンアミド系抗生物質です。静菌作用を示し、主にトリメトプリムとの合剤（ST合剤）として用いられます。SMX単剤では耐性菌が出現しやすいため、日本ではST合剤でのみ販売されています。ST合剤は、幅広い種類の細菌感染症に効果を発揮します。

作用機序

SMXは、パラアミノ安息香酸（PABA）と構造が類似しており、細菌における葉酸合成を阻害することで作用します。PABAは、細菌が葉酸を合成する際に必要な物質です。葉酸は、DNA合成に必須の代謝物であり、その合成が阻害されることで、細菌の増殖が抑制されます。ヒトはPABAを体内で合成しないため、SMXはヒトへの影響が少なく、細菌選択的に作用します。

効果

ST合剤は、様々な細菌感染症に効果を示します。具体的には、ブドウ球菌（MRSAを含む）、大腸菌、インフルエンザ菌、嫌気性菌などに効果があります。特に、尿路感染症の治療薬として頻繁に処方され、ペニシリン系薬剤へのアレルギーのある患者さんの副鼻腔炎治療においても代替薬として用いられることがあります。また、トキソプラズマ症やニューモシスチス肺炎などの治療にも用いられます。

副作用

SMXの主な副作用は、胃腸障害です。吐き気や嘔吐、下痢などの症状が現れることがあります。その他、発疹、発赤、呼吸困難、嚥下障害などのアレルギー反応が現れる場合もあります。また、ワルファリンとの併用は、ワルファリンの作用を増強する可能性があり、出血傾向を招く可能性があるため注意が必要です。

更にまれな副作用として、血液に関する問題があります。骨髄抑制による白血球減少、貧血、血小板減少症などが報告されています。重篤な副作用としては、再生不良性貧血、巨赤芽球性貧血、メトヘモグロビン血症、血栓性血小板減少性紫斑病（TTP）、溶血性尿毒症症候群（HUS）、アナフィラキシー、ショック、皮膚粘膜眼症候群（スティーブンス・ジョンソン症候群）、中毒性表皮壊死融解症（TEN）、急性膵炎、偽膜性大腸炎、重度の肝障害、急性腎不全、間質性腎炎、間質性肺炎、無菌性髄膜炎、末梢神経炎、低血糖発作、高カリウム血症、低ナトリウム血症、横紋筋融解症などが挙げられます。これらの重篤な副作用は稀ですが、発現した場合には速やかに医療機関への受診が必要です。

使用上の注意点

SMXを使用する際には、医師の指示に従うことが重要です。自己判断で服用量や服用期間を変更しないように注意しましょう。妊娠中や授乳中の方、他の薬剤を服用中の方などは、医師に相談の上、服用する必要があります。副作用が出現した場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談しましょう。

まとめ

SMXは効果的な抗菌薬ですが、重篤な副作用を起こす可能性もあります。医師の指示を厳守し、適切に使用することが重要です。何か気になる症状が現れた際には、すぐに医師に相談してください。

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