タンジュンプリオク

タンジュンプリオクは、インドネシアの首都ジャカルタの北部に広がる地区であり、ジャカルタ湾に面した場所に位置しています。この地区は、大規模な港湾施設を有しており、ジャカルタの旧市街であるコタ地区の北東約10キロメートルの距離にあります。

歴史

タンジュンプリオクの歴史は、ジャカルタ湾の地形と深く関わっています。かつてこの地域は、遠浅の海岸とマングローブが広がる干潟地帯でした。オランダ植民地時代、バタヴィア（現在のジャカルタ）の港は大型の貿易船が直接着岸することができず、沖合で小型船に貨物を積み替える必要がありました。1869年のスエズ運河開通に伴い、海上貿易が急速に拡大したため、従来の非効率な輸送方法では貨物の処理が追いつかなくなりました。

このような状況を背景に、オランダ植民地政府は1877年に新たな港湾建設に着手しました。干潟が埋め立てられ、桟橋やドックが整備されるとともに、既存の鉄道網が延伸され、1885年にはタンジュンプリオク駅が開設されました。これにより、タンジュンプリオク港の周辺には倉庫や工場が集積し、オランダ領東インドにおける最も近代的な貿易港として発展を遂げました。

インドネシアが独立した後、タンジュンプリオクには職を求めて地方から多くの人々が移り住み、人口が急増しました。しかし、下水道などのインフラ整備が追いつかず、深刻な水質汚染が発生しました。その結果、タンジュンプリオクは主に低所得層が居住する地区となり、一部地域では不法占拠者が密集するスラム街が形成されることとなりました。

近年、タンジュンプリオク地区の生活環境を改善するための様々な取り組みが行われています。公共住宅や公園が建設され、住民の生活環境は改善されつつあります。また、2022年には世界最大級の開閉式スタジアムである「ジャカルタ国際スタジアム」が完成し、新たなランドマークとなっています。

タンジュンプリオクは、歴史的には重要な貿易拠点としての役割を果たしてきましたが、都市化の進展とともに様々な課題にも直面してきました。しかし、近年は地区の再生に向けた取り組みが進められており、今後の発展が期待されています。

関連項目

インドネシアの歴史

外部リンク

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