デパ地下

デパ地下（デパちか）とは

デパ地下は、日本の百貨店における食品売り場を指す通称で、多くは地下に位置していますが、建物の構造や営業戦略により必ずしも地下にあるとは限りません。この形態の売り場は、惣菜、弁当、スイーツ、酒など多岐にわたる食品を提供しており、特色ある店舗が多く揃っています。特に、有名店が出店している場合が多く、買い物客にとって魅力的な選択肢となっています。また、イベントとして物産展や駅弁の販売も行われるなど、来店者を楽しませる工夫が凝らされています。新型コロナウイルスの影響により、オンライン販売や配達サービスを提供する店舗も増えており、デパ地下の利用スタイルは進化しています。

歴史

デパ地下の起源は1936年に遡ります。この年、松坂屋名古屋店で初めて導入され、その後日本各地に広まりました。伝統的な呉服店である松坂屋に対抗する形で、阪急百貨店などの新興勢力は食品売り場を重視し、1940年代からは菓子製造工場を設けるなどして、より多様な食品を取り扱うようになりました。デパ地下という呼称が広まり始めたのは2000年に、東急百貨店の「東急フードショー」が開店した頃からです。この時、阪神百貨店社長の三枝輝行が食料品売場の強化に注力し、「日本一のデパ地下」を築いたとして有名です。

地下に存在する理由

多くのデパートが地下に食品売り場を設けている理由の一つは、設備費用が安く済むためです。水道や電気の配線が地上よりもコストを抑えられるからです。実際に地下の方が搬入スペースも取りやすく、商品の運搬も便利です。また、地下鉄と接続している場合も多く、交通の利便性も高まります。このため、地下なので集まる客を上層階へ誘導することが狙いとされており、これは「噴水効果」と呼ばれます。ただし、建物によっては地上に食料品売り場を設置していることもあり、それでも多くは地上フロアに対する配慮から配置されているのが一般的です。

さまざまな配置パターン

デパ地下の形態は多彩であり、食品売り場が地下スペースと地上スペースに分散していることも見られます。生鮮食品や惣菜が地下に、スイーツが地上に置かれるなど、商品ごとの特性に応じた配置が行われています。例えば、柏髙島屋ステーションモールでは、地下2階に酒類、地下1階に生鮮食品、1階にスイーツが揃うように設計されています。建物が持つ構造や営業戦略による違いが、顧客に対する買い物体験にも影響を与えています。

デパ地下のみの出店事例

近年では、食品販売に特化したデパ地下の形態を取る店舗も増加しています。例えば、大丸フードマーケットやタカシマヤフードメゾンは、ショッピングセンター内のテナントとして新たにオープンしています。また、従来の百貨店が縮小していく中で、食料品売り場だけを残すケースも多く見られます。これは、買い物客が頻繁に利用する売り場が食料品だからこそ、競争力を維持するための戦略と言えます。

とりわけ、都心を中心に展開されるデパ地下は、日常の買い物だけでなく、特別な食材や高級スイーツを求める人々にも使われるなど、幅広いニーズに応えています。

もう一度検索