トムス

株式会社トムス (TOM'S Co., Ltd.)

株式会社トムスは、日本の東京都世田谷区に本社を置く企業で、主にトヨタ車向けのアフターパーツの開発・販売を行っています。1974年に設立されて以来、モータースポーツの分野でもトヨタのセミワークスチームとして多岐にわたる活動を展開しています。また、エンジンコンストラクターやチューナーとしての役割も担っており、業界内で高い評価を受けています。

設立の経緯と歴史

トムスは、オイルショックによりトヨタがそのワークスチームを解散した後、当時のワークスドライバーだった舘信秀氏と、トヨタ系のディーラーでスポーツコーナーの責任者を務めていた大岩湛矣氏によって共同設立されました。「TOM'S」という名称は、舘（Tachi）、大岩（Oiwa）とモータースポーツ（Motor Sports）の頭文字を組み合わせたものです。これにより、トムスは設立以来トヨタのレース活動に密接に関与し、一時はトヨタのワークス活動の委託を受けるなど、頼りにされる存在へと成長しました。

企業は独立した資本構成を持ち、トヨタ自動車本体およびそのグループ会社の資本は一切入っていないため、社名が「トヨタ・モータースポーツ」と誤解されることもありますが、実際には独立企業として豊富な経験と技術を武器にしています。このような背景もあって、トムスは専門的なアフターパーツメーカーとしても名を馳せ、特にトヨタ車を対象としたチューニングパーツで知られています。

1994年には、トヨタ車のチューニングパーツに特化したトムススピリットが設立され、モータースポーツの世界ではトヨタの育成プログラムを担う役割を果たしています。

レース活動と成績

トムスは、さまざまなカテゴリーでレース活動を行っており、特に全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権 (JSPC) への参戦が有名です。1983年の開幕戦から1992年の最終戦まで、全戦に参加し、シーズン中に数々の勝利を収めました。ル・マン24時間レースにも積極的に参加し、1992年にはTS010を用いて日本人初の表彰台を獲得しました。

また、全日本F3選手権などのフォーミュラカーシリーズにも参戦し、多くのドライバーを育て上げています。中には、海外で成功を収めた選手も多く、トムスが制作したエンジンを搭載するチームは国内外の選手権で非常に高い競争力を発揮しています。

SUPER GT選手権でも実績を重ね、複数回のチャンピオンタイトルを獲得。特にトヨタの顔とも言える存在として、多くの観客に支えられています。近年では、全日本GT選手権やスーパー耐久などでも引き続き競技活動を展開しており、その活躍は衰えることがありません。

チューニングパーツメーカーとしての強み

また、トムスはアフターパーツの製造・販売でも知られています。トヨタ車専門のパーツメーカーとして、法規の遵守を重視した商材を提供し、ユーザーの信頼を得ています。代表的な商品には、高性能なコイルダンパーユニットや、電子制御ユニット (ECU) などがあります。

顧客のニーズに応じて、スポーツ走行や日常的な利用に適したパーツを設計・開発しており、その技術力や品質は高く評価されています。特に足回りに関するアフターパーツは注目され、ドライバーの運転体験を向上させるために常に改良が加えられています。

まとめ

トムスは、日本の自動車業界においてトヨタ車のアフターパーツだけでなく、レース活動でも重要な役割を果たす企業です。豊富な経験や技術を背景に、多くのファンやユーザーから支持を受け続けており、今後のさらなる発展が期待されています。

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