ナナホシテントウ
ナナホシテントウ（学名：Coccinella septempunctata）は、テントウムシ科に属する昆虫で、和名の通り、鮮やかな赤い前翅に七つの黒い斑紋を持つのが特徴です。日本全国で広く見られ、ナミテントウと並んで最も一般的によく観察されるテントウムシの一つです。その派手な姿は、生物学的には外敵への警告色と考えられており、危険を感じると黄色い体液を出して身を守る行動もこれに関連しています。
体長は約5〜9mmで、丸みを帯びた楕円形をしています。背面はなめらかな浅い半球状に盛り上がり、腹面はほぼ平らです。普段、触角や脚は腹面に隠れています。
体色は黒が基本ですが、前翅のみが赤またはやや黄色みを帯びた赤色をしています。頭部には小さな点刻があり、複眼の近くに黄色い斑紋が見られます。前胸の前縁は内側に窪み、その両端に大きな淡黄色の斑紋があり、まるで目が二つあるように見えます。
最大の特徴である前翅の黒い斑紋は、非常に安定した配置をしています。左右の前翅それぞれに前内側、中央、中央を挟むように外側前後にもう二つずつ、合計四つの斑紋があります。前翅を閉じた状態では、前内側の斑紋が合わさって一つに見えるため、結果として七つの斑紋があるように見えるのです。なお、日本のものと旧北区の個体群では、斑紋の大きさや小楯板付近の斑紋の有無に違いが見られることがあります。
動きは素早いとはいえませんが、活発に活動します。植物の枝先まで登り詰めてから、翅を広げて飛び立つ姿がよく観察されます。危険が迫ると、脚をたたんで動きを止める擬死を行います。この際、関節から黄色く臭い体液を分泌しますが、これは防御のための行動です。体内には鳥が嫌うアルカロイドが含まれており、視覚的な警告色と合わせて捕食を避けています。
食性は肉食で、幼虫・成虫ともに主にアブラムシを捕食します。ハダニを食べることもあります。幼虫は共食いをすることもあり、特に若齢期によく見られますが、アブラムシが豊富にあれば起こりにくくなります。
成虫は集団で冬眠します。ナミテントウのように大規模な集団ではなく、草の根元などで小さな集まりを作って越冬します。暖かい地域では冬でも活動する個体が見られます。また、夏場に同様の場所で活動を休止する夏眠も知られています。ススキの株が休眠場所としてよく利用されることから、天敵保護のためにススキの刈り取り時期を考慮すべきという意見もあります。
ナナホシテントウを含む捕食性テントウムシは、餌を探す際に「広域型」と「地域集中型」の二種類の探索行動を使い分けます。広域型は広い範囲を直線的に移動するのに対し、地域集中型は狭い範囲を細かく探し回る行動です。まず広域型で探し始め、餌（アブラムシ）を見つけると地域集中型に切り替えてその周辺を集中的に探します。しばらく餌が見つからないと、再び広域型に戻ります。
この切り替えは、アブラムシに触れることで起こり、必ずしも摂食は必要ありません。地域集中型探索の持続時間は、アブラムシを食べる時間によって変化し、長く食べるほど長く続きます。広域探索には寄生された植物の匂いが、地域集中型探索にはアブラムシが出す警報フェロモンが手がかりになっていると考えられています。
餌となるアブラムシの種類に対する強い選択性は見られませんが、キョウチクトウアブラムシのように宿主植物の毒を体内に持つアブラムシを食べた場合、中毒死する例も報告されています。
関東地方周辺では、年に二回発生（年2化）します。卵から羽化までの期間は約20日、成虫の活動期間中の寿命は約2ヶ月です。秋に羽化した成虫は越冬し、春になってアブラムシの活動が始まると産卵します。この卵から孵化した最初の世代が晩春に成虫になり、二世代目は夏に羽化します。
卵は黄色い楕円形で、一度に30個程度をまとめて産み付けます。メスは断続的に2ヶ月近く産卵を続け、一生涯で1600個以上、時には2600個もの卵を産むことがあります。
幼虫は細長く、やや平たい体で、よく発達した三対の脚を持っています。背面は白っぽい紫色で、黒い斑点が並んでいます。蛹は尾の先で基物にくっつく涙滴型で、赤っぽい色に黒い斑紋があります。羽化直後の成虫は前翅が黄色いですが、時間とともに本来の赤色に変化します。
ナナホシテントウはアジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布しています。日本では全土で見られる普通種で、明るい場所を好み、日当たりの良い草原や畑地の周辺などでよく観察されます。
ナミテントウも同様にアブラムシを捕食し、同じ環境に混生することが多いです。全体的にはナミテントウの方が多いとされますが、春先にはナナホシテントウの方が多く見られる傾向があります。これは、ナナホシテントウの方が早く繁殖活動を始めるためと考えられています。また、ナミテントウの幼虫は、ナナホシテントウの幼虫や蛹を捕食することが知られています。
アブラムシは農業における重要な害虫ですが、ナナホシテントウはその主要な天敵であるため、農業分野では益虫として非常に重要視されています。天敵として利用するための研究も広く行われています。ナミテントウもよく見られますが、「テントウムシ」という言葉から連想されるイメージとしては、このナナホシテントウの姿を思い浮かべる人が多いといわれています。
同じCoccinella属には数種類があり、アイヌテントウやココノホシテントウなどが色彩や斑紋が似ていますが、ナナホシテントウにはない前翅前の小さな黒斑などで区別できます。
特徴
体長は約5〜9mmで、丸みを帯びた楕円形をしています。背面はなめらかな浅い半球状に盛り上がり、腹面はほぼ平らです。普段、触角や脚は腹面に隠れています。
体色は黒が基本ですが、前翅のみが赤またはやや黄色みを帯びた赤色をしています。頭部には小さな点刻があり、複眼の近くに黄色い斑紋が見られます。前胸の前縁は内側に窪み、その両端に大きな淡黄色の斑紋があり、まるで目が二つあるように見えます。
最大の特徴である前翅の黒い斑紋は、非常に安定した配置をしています。左右の前翅それぞれに前内側、中央、中央を挟むように外側前後にもう二つずつ、合計四つの斑紋があります。前翅を閉じた状態では、前内側の斑紋が合わさって一つに見えるため、結果として七つの斑紋があるように見えるのです。なお、日本のものと旧北区の個体群では、斑紋の大きさや小楯板付近の斑紋の有無に違いが見られることがあります。
生態
動きは素早いとはいえませんが、活発に活動します。植物の枝先まで登り詰めてから、翅を広げて飛び立つ姿がよく観察されます。危険が迫ると、脚をたたんで動きを止める擬死を行います。この際、関節から黄色く臭い体液を分泌しますが、これは防御のための行動です。体内には鳥が嫌うアルカロイドが含まれており、視覚的な警告色と合わせて捕食を避けています。
食性は肉食で、幼虫・成虫ともに主にアブラムシを捕食します。ハダニを食べることもあります。幼虫は共食いをすることもあり、特に若齢期によく見られますが、アブラムシが豊富にあれば起こりにくくなります。
成虫は集団で冬眠します。ナミテントウのように大規模な集団ではなく、草の根元などで小さな集まりを作って越冬します。暖かい地域では冬でも活動する個体が見られます。また、夏場に同様の場所で活動を休止する夏眠も知られています。ススキの株が休眠場所としてよく利用されることから、天敵保護のためにススキの刈り取り時期を考慮すべきという意見もあります。
餌探索行動
ナナホシテントウを含む捕食性テントウムシは、餌を探す際に「広域型」と「地域集中型」の二種類の探索行動を使い分けます。広域型は広い範囲を直線的に移動するのに対し、地域集中型は狭い範囲を細かく探し回る行動です。まず広域型で探し始め、餌（アブラムシ）を見つけると地域集中型に切り替えてその周辺を集中的に探します。しばらく餌が見つからないと、再び広域型に戻ります。
この切り替えは、アブラムシに触れることで起こり、必ずしも摂食は必要ありません。地域集中型探索の持続時間は、アブラムシを食べる時間によって変化し、長く食べるほど長く続きます。広域探索には寄生された植物の匂いが、地域集中型探索にはアブラムシが出す警報フェロモンが手がかりになっていると考えられています。
餌となるアブラムシの種類に対する強い選択性は見られませんが、キョウチクトウアブラムシのように宿主植物の毒を体内に持つアブラムシを食べた場合、中毒死する例も報告されています。
生活史
関東地方周辺では、年に二回発生（年2化）します。卵から羽化までの期間は約20日、成虫の活動期間中の寿命は約2ヶ月です。秋に羽化した成虫は越冬し、春になってアブラムシの活動が始まると産卵します。この卵から孵化した最初の世代が晩春に成虫になり、二世代目は夏に羽化します。
卵は黄色い楕円形で、一度に30個程度をまとめて産み付けます。メスは断続的に2ヶ月近く産卵を続け、一生涯で1600個以上、時には2600個もの卵を産むことがあります。
幼虫は細長く、やや平たい体で、よく発達した三対の脚を持っています。背面は白っぽい紫色で、黒い斑点が並んでいます。蛹は尾の先で基物にくっつく涙滴型で、赤っぽい色に黒い斑紋があります。羽化直後の成虫は前翅が黄色いですが、時間とともに本来の赤色に変化します。
分布と生育環境
ナナホシテントウはアジア、ヨーロッパ、北アフリカに広く分布しています。日本では全土で見られる普通種で、明るい場所を好み、日当たりの良い草原や畑地の周辺などでよく観察されます。
ナミテントウも同様にアブラムシを捕食し、同じ環境に混生することが多いです。全体的にはナミテントウの方が多いとされますが、春先にはナナホシテントウの方が多く見られる傾向があります。これは、ナナホシテントウの方が早く繁殖活動を始めるためと考えられています。また、ナミテントウの幼虫は、ナナホシテントウの幼虫や蛹を捕食することが知られています。
人間との関係
アブラムシは農業における重要な害虫ですが、ナナホシテントウはその主要な天敵であるため、農業分野では益虫として非常に重要視されています。天敵として利用するための研究も広く行われています。ナミテントウもよく見られますが、「テントウムシ」という言葉から連想されるイメージとしては、このナナホシテントウの姿を思い浮かべる人が多いといわれています。
分類
同じCoccinella属には数種類があり、アイヌテントウやココノホシテントウなどが色彩や斑紋が似ていますが、ナナホシテントウにはない前翅前の小さな黒斑などで区別できます。
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