ニチニチソウ

ニチニチソウ（日々草）

ニチニチソウは、キョウチクトウ科ニチニチソウ属に分類される、主に観賞用として栽培される一年草です。学名は Catharanthus roseus といいます。その名前は、初夏から晩秋にかけて、次から次へと花が咲き続ける様子に由来しています。キク科のヒャクニチソウとは別の植物です。

形態と生態

原種は地面を這うように広がる性質を持つ小さな低木ですが、園芸用に改良された品種の多くは、まっすぐに立ち上がる草姿をしています。熱帯地域では冬を越して多年草として育ちますが、耐寒性がほとんどないため、日本の温帯地域では秋の終わりには枯れてしまう一年草として扱われます。ただし、暖かく照明のある室内で管理すれば冬越しも可能です。

葉は細長い楕円形をしており、茎に対になってつきます。花は直径3～4cmほどで、花びらは5枚に深く裂けています。花色は非常に豊富で、白、ピンク、赤、赤紫などが見られます。中には、花びらの中心部分だけが異なる色になっているものもあります。

毒性について

ニチニチソウの植物全体には、10種類以上のアルカロイドが含まれており、「ビンカアルカロイド」と総称されています。このうち、特にビンクリスチンとビンブラスチンという成分は、細胞の分裂を妨げる作用（チューブリンの重合を阻害する）があります。これらの成分は、特定の病気の治療薬（抗がん剤など）として利用されることもありますが、専門家以外が安易に使用したり、摂取したりすることは極めて危険です。

誤ってニチニチソウを口にしてしまうと、消化器系の不調（嘔吐や下痢）だけでなく、より重篤な毒性症状が現れる可能性があります。具体的な症状としては、中枢神経の異常な興奮、心臓の機能障害、全身のけいれん、筋肉の麻痺などが報告されています。少量でも危険なため、特に小さなお子さんやペットが誤って口にしないよう、取り扱いには十分な注意が必要です。

分布と生育環境

ニチニチソウは、マダガスカル島を原産地としています。熱帯地域では多年草として自生していますが、その美しい花姿から世界中の温帯地域で観賞用植物として広く栽培されています。日本では、春に種まきや苗の植え付けを行い、夏から秋にかけて花を楽しむ一年草として親しまれています。

人間との関わり

主にその美しい花を鑑賞するために栽培されます。夏の暑さにも強く、長期間にわたって花を咲かせるため、庭植えや鉢植え、花壇などに広く利用されています。

日本のさいたま市浦和区では、「区の花」としてニチニチソウが指定されています。

ニチニチソウ属および近縁種

ニチニチソウ属（Catharanthus属）はキョウチクトウ科に属し、ニチニチソウ (C. roseus) のほかにもいくつかの種が知られています。

ニチニチソウと名前が似ている植物に、ツルニチニチソウ（Vinca major）やヒメツルニチニチソウ（Vinca minor）がありますが、これらはツルニチニチソウ属（Vinca属）に分類され、ニチニチソウ属とは異なります。同じキョウチクトウ科ではありますが、分類学上は別のグループです。特にヒメツルニチニチソウはツルニチニチソウよりも小型で、比較的耐寒性がある性質を持ち、学名から「ビンカ・ミノール」とも呼ばれることがあります。

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