バンダースナッチ

バンダースナッチとは

バンダースナッチ（Bandersnatch）は、ルイス・キャロルの詩『ジャバウォックの詩』および『スナーク狩り』に登場する架空の生物です。この生物に関する具体的な描写は希薄であり、その姿や性質は多くの疑問を残しています。

キャロルの作品におけるバンダースナッチ

『ジャバウォックの詩』では、バンダースナッチについての記述は限られており、主人公に「燻り狂えるバンダースナッチに近寄るべからず」という警告が示されるのみです。このため、読者はバンダースナッチがどのような形をしているのか、どれほどの大きさなのかを正確に知ることができません。なお、バンダースナッチという名称が単一の種に与えられたものなのか、あるいは複数の生物を示すのかも明確ではありません。

他の部分では、白のキングが「一分間というやつは恐ろしく素早く過ぎる」と述べ、この生物がとても迅速であることが示唆されています。バンダースナッチに関しては、「燻り狂っていない」ものが存在するのか、そしてその場合安全なのか、といった点も不明です。

加えて、「燻り狂った（frumious）」という形容詞は、バンダースナッチ固有のものであり、怒りと燻るという意味を併せ持つかばん語として使われています。これは、作品の中でバンダースナッチの本質を表現する重要な要素です。

『スナーク狩り』では、バンダースナッチが非常に素早く動く生物であることが記載されており、長い首と獲物を捕えるための燻り狂った顎を持つとされています。作中では、バンダースナッチが銀行家を捕まえようと試みる場面も描かれています。

他作品におけるバンダースナッチ

バンダースナッチはキャロルの作品だけでなく、他の文学作品やメディアにも影響を与えています。例えば、ラリー・ニーヴンのSF小説『ノウンスペースシリーズ』では、重力の強い惑星ジンクスに生息する生物に「Frumious bandersnatch」という学名が付けられています。この生物は巨大なナメクジのような形態を持ち、同シリーズにおいてバンダースナッチの複数形は「bandersnatchii」です。

さらに、七月鏡一原案によるSF漫画『ARMS』や、カプコンの『バイオハザード CODE:Veronica』、ヘッドロックによるMMORPG『ベルアイル』などでもバンダースナッチという名前が使われています。映画『アリス・イン・ワンダーランド』では、白い体と黒い斑点のブルドッグのような姿で登場し、視覚的にも印象的な描写がなされています。

また、冲方丁の小説『マルドゥック・スクランブル』では、民間軍事会社にバンダースナッチの名前がつけられ、ライトノベル『デート・ア・ライブ』では、DEM社製の機械人形に名付けられています。アニメ映画『ガールズ&パンツァー 劇場版』でもキャラクターによってT28重戦車がバンダースナッチに例えられる場面があり、バンダースナッチという名前は幅広く利用されています。

結論

バンダースナッチは、ルイス・キャロルの作品から派生した多様な解釈を持つ生物であり、その神秘的な存在は今なお多くのクリエイターに影響を与え続けています。それぞれの作品におけるバンダースナッチの描写は異なるものの、共通して謎めいた魅力を持ち続けているのが特徴です。

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