フルコンタクト空手

フルコンタクト空手の概要

フルコンタクト空手は、直接的な打撃制を採用している空手の一派であり、主に組手競技に重点を置いています。日本国内では、主に極真会館に見られるスタイルが代表的で、グローブや防具を使用しない直接打撃による形式が特徴です。このスタイルは、伝統派空手と対比されることが多く、防具を用いる空手も広義にはフルコンタクト空手に含まれることがあります。

元々フルコンタクト空手の組手形式は、寸止めルールや他の稽古方法に比べ、歴史的にも先行しています。日本での初の全国空手道選手権大会も防具付きのルールで行われていたため、なじみ深い形式といえます。アメリカにおいては1970年代からプロ空手協会や世界キックボクシング協会が存在し、ボクシンググローブを着用したアメリカンキックボクシングが主流となります。日本では、このアメリカンスタイルが「マーシャルアーツ」として紹介されることもありました。

フルコンタクト空手の歴史

沖縄時代

フルコンタクト空手の起源は沖縄に遡ります。琉球王国時代、那覇の遊郭では「掛け試し」と呼ばれる自由試合が行われていました。この試合は、あらかじめ決められたルールのもとで相手と機会を競うもので、試合後には相互の技術に対するアドバイスがなされる教育的な側面も持っていました。特に、本部朝基という無敗の使い手が有名で、他の流派も彼の技術を学びました。

戦前の動き

空手が本土へ伝わると、試合形式は長期間途絶えてしまいます。これは、空手の名将である船越義珍が組手試合を否定したことが直接影響しています。その結果、型の稽古ばかりが重視され、実戦的な稽古は後れを取ってしまいました。空手の試合形式は、昭和2年に東京帝国大学で防具付きのルールが考案されるまで形を持ちませんでした。この試みは後に激怒した船越によって潰されるものの、空手家たちは試合形式を模索し続けました。

戦後の復活

戦後は、韓武館という道場が防具付き空手を復活させました。この道場は、試合に使用する防具を剣道用のものから改良し、初めて全国大会を開催しました。これにより、防具付き空手は再び注目を浴びました。一方、直接打撃制の空手を志す空手家たちは、グローブの着用を意識し始め、試合形式を実現へと導こうとしていました。特に、山田辰雄はフルコンタクトによる空手の試合を企画し、後のフルコンタクト空手の基盤を築いたと言えます。

極真カラテの誕生

大山倍達によるフルコンタクト空手の運動は、空手界でも異端視されていましたが、その実践は理論に裏打ちされたものでした。彼は、日本の伝統空手の流派である剛柔流に影響を受けつつ、直接打撃を学ぶことで、フルコンタクトの実現に向けた道を開いていきます。昭和39年に設立した国際空手道連盟極真会館は、直接打撃空手の先駆者として日本国内外に評価され、ブームを生み出しました。これにより、フルコンタクト空手は社会的に認知され、発展を遂げました。

全日本フルコンタクト空手道連盟の設立

2013年、全国のフルコンタクト空手団体が集結して全日本フルコンタクト空手道連盟が発足しました。この連盟は、フルコンタクト空手のオリンピック種目化を目指し、多くの競技団体が共同で活動を行っていく方針です。2014年には第1回全日本フルコンタクト空手道選手権大会も開催され、さらなる発展を期待されています。

現代のフルコンタクト空手

フルコンタクト空手は、狭義には極真会館のように顔面への攻撃を禁じるスタイルから、より広範な防具を使用したバリエーションまで多様な形態を持っています。また、アメリカのフルコンタクト空手や、グローブを用いた形式、さらにPOINT&KOルールといった新たな試みが合わさることで、競技としても成長を続けています。これにより、全国に多くの道場と大会が開催され、空手の未来がますます期待される状況です。

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