ブッキングドットコム

ブッキングドットコム（Booking.com）とは

ブッキングドットコムは、オランダ発祥のオンライン旅行会社で、世界最大級の宿泊予約サイトとして知られています。ブッキング・ホールディングスの子会社であり、アムステルダムに本社を構えています。その歴史は、1996年にトゥウェンテ大学の学生ヘールト＝ヤン・ブラインスマが、オンラインホテル予約のアイデアを得たことから始まりました。

草創期

ブラインスマは、大学卒業後の1996年11月に「Booking.nl」を設立。1997年1月にウェブサイトを立ち上げ、わずか10軒の宿泊施設からサービスを開始しました。当時は、写真を見ながら自身の言語で説明を読み、簡単に予約できるシステムが画期的でした。アムステルダムでは既にオンライン予約の試みがありましたが、メールでのやり取りが必要だったため、ブラインスマはウェブ上で予約が完結するシステムを構築し、競合を圧倒しました。初期の利用者の多くはアメリカ人旅行者で、1998年末に最初のスタッフが雇用されました。

2000年代に入ると、アメリカのオンライン旅行会社がマーチャントモデルで国際進出を開始。しかし、ブラインスマはエージェンシーモデルを採用し、「キャンセル無料」を掲げ、旅行者の支持を得ました。この方針は、後のCMOアルトゥール・コステンらによって引き継がれ、現在のブッキングドットコムのビジネスモデルの基礎となりました。

グローバル企業への飛躍

2003年、プライスラインドットコムはBookingsのビジネスモデルに関心を示し買収をオファーしました。2005年7月、ケース・コーレンが買収を受け入れ、プライスラインの一員となりました。買収時の宿泊施設登録数は約1万軒でしたが、2006年にActivehotels.comを統合し、ウェブサイト名を「Booking.com」に改名、ヨーロッパでのオンライン予約サービス拡大を進めました。

2007年4月にはドバイ、ケープタウンに進出し、ヨーロッパ外への展開を開始。2008年にはニューヨーク、サンフランシスコ、シドニーなど世界各地に拠点を設立。2010年には宿泊施設登録数が10万軒を突破、その後も急成長を続け、2018年には200万軒を超えました。2011年9月以降、マイクロソフト日本法人元社長のダレン・ヒューストンがCEOを務めましたが、2016年4月にギリアン・タンズに交代。2019年6月からは、親会社ブッキング・ホールディングスCEOのグレン・フォーゲルが、ブッキングドットコムのCEOを兼任しています。

総合宿泊予約サイトへの変貌

ブッキングドットコムは現在、世界70カ国に198の支社を持ち、オンライン宿泊予約の最大手企業となっています。アメリカが国別予約数で最多となっています。2018年2月、親会社のプライスライン・グループはブッキング・ホールディングスに社名変更しました。2010年代には、バケーションレンタルの登録を拡充し、総合的な宿泊予約サイトへと進化しました。現在では、ホテル予約だけでなく、バケーションレンタル予約でも世界的な大手となっています。また、様々な企業とのアフィリエイト提携も強化しています。

シームレスな旅行予約プラットフォームへ

2010年代後半からは、宿泊以外の旅行サービスもシームレスに予約できるサービスの拡充に注力しています。2016年7月には、現地アクティビティの予約サービス「ブッキング・エクスペリエンス」を開始。2019年10月には東南アジアの配車アプリGrabと連携し、アプリを通じて配車サービスが利用可能になりました。ブッキング・ホールディングスの保有するレンタカーズドットコムは、ブッキングドットコムの傘下に位置づけられ、レンタカーの手配も可能です。

日本におけるブッキングドットコム

日本語ウェブサイトは2005年に開設され、外資系OTAの中では最も長い歴史を持ちます。2009年に東京に事業所を開設し、現在では東京、大阪、福岡、那覇、札幌にオフィスがあります。当初は海外旅行のアウトバウンド予約が多かったのですが、2016年には国内ユーザーによる国内宿泊施設の予約が最多となり、2019年には国内予約が海外からの予約を上回りました。日本国内の宿泊施設登録数も、楽天トラベルとじゃらんnetを除く国内ホテル予約サイトを上回り、外資系OTAのウェブサイトとしては1位となっています。楽天トラベルとは海外ホテル予約サービスで提携しており、一部地域への在庫提供を行っています。また、楽天ライフルステイの民泊在庫も掲載しています。

サービス内容

ブッキングドットコムは、高級ホテルチェーンから旅館、民泊まで30以上の宿泊施設タイプをカバーしています。バケーションレンタルでは、ホテル予約と同様の操作で予約を完了できるシステムを提供しています。24時間日本語対応のカスタマーサービスセンターも東京に設けられています。ブッキングドットコムのビジネスモデルは、原則として現地決済のエージェンシーモデルですが、一部地域では即時決済プランも導入されています。

ホテル検索と口コミ

出張利用では、領収書の発行を事前に依頼できます。Googleマップで宿泊施設の場所を確認でき、周辺施設も表示されます。キャンセル無料のプランを多く掲載していることも特徴です。口コミは、24ヶ月以内の宿泊者による投稿のみが表示され、スタッフが内容を確認しています。口コミで高評価を得た宿泊施設を表彰する「クチコミアワード」も実施しています。

料金支払いと予約確認

支払いは現地払いプランを中心に、事前全額払いプランなど多様な支払い方法から選択できます。予約は、ブッキングドットコムのフォーマットを通じて宿泊施設と契約することを意味します。予約にはクレジットカードの登録が必要ですが、国内やアジアではクレジットカードなしで予約できる場合もあります。リクエスト欄から宿泊施設にメッセージを送信できるサービスも提供されています。

最安値保証と返金手続き

最安値保証サービスでは、予約後により安い価格が見つかった場合、差額を返金します。また、キャンセル無料の宿泊施設で誤って料金を請求された場合は、返金手続きが可能です。

登録者サービスと空港送迎

アカウントを作成し、メールマガジンに登録すると、シークレットセールなどの割引情報が表示されます。予約頻度の高いユーザーは「Booking Genius」に認定され、割引料金やレイトチェックアウトなどの特典を受けられます。また、主要空港を網羅した配車サービスも提供しています。

その他

トップページの「フライト」は、Gotogateへのリンク、「レンタカー」はレンタルカーズドットコム、「レストラン」はオープンテーブルへのリンクとなっています。これらの企業はブッキング・ホールディングスの傘下にあります。日本の航空会社では、JALやANAなどが、ブッキングドットコム経由の予約でマイルが貯まるサービスを提供しています。

派生サービス

「Booking.com for business」は、法人・団体向けの出張管理ツールです。

問題点

ブッキングドットコムは、宿泊施設への未払い問題や空港送迎サービスの道路運送法違反問題が指摘されています。これらの問題については、今後も改善が求められます。

外部リンク

公式サイトやSNSアカウントは以下の通りです。

モバイルアプリ

この詳細な説明は、ブッキングドットコムの歴史、サービス内容、問題点など、多岐にわたる情報を網羅的に提供しています。

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