ブーリ

ブーリ

ブーリ（またはブリ。古ノルド語: Búri）は、北欧[[神話]]において最初に生まれたとされる神であり、神々の祖先にあたる存在です。彼は、ボル（Borr）神の父であり、オーディン（Óðinn）神の祖父という重要な血統を持っています。

誕生の物語

ブーリの誕生は、他の神々とは異なり、非常に独特な方法で語られています。『散文のエッダ』の第一部『ギュルヴィたぶらかし』によると、ブーリは、ギンヌンガ・ガップ（Ginnungagap）と呼ばれる原初の空間に存在した塩分を含んだ氷を、雌牛のアウズンブラ（Auðumbla）が舐め続けることで生まれました。アウズンブラが氷を舐めるたびに、氷から徐々に人の形が現れ、最終的にブーリが誕生したとされています。

この物語は、『散文のエッダ』でのみ語られており、他の神話文献では見られない点が特徴です。特に、ブーリの誕生が、他の神々のような創造主によるものではなく、自然現象に近い形で語られている点は、興味深いところです。

文献における言及

ブーリに関する記述は非常に少なく、『詩のエッダ』には一切登場しません。また、スカルド詩の文献においても、一度だけ言及されるに過ぎません。このことから、ブーリは神話の中でも中心的な役割を担う存在ではなく、神々の系譜を語る上で重要な位置を占める存在と解釈できます。

スノッリ・ストゥルルソン（Snorri Sturluson）が書いた『散文のエッダ』第二部『詩語法』の中では、12世紀のスカルド詩人ソルヴァルド（Þórvaldr blönduskáld）による詩の一部が引用されており、その中でブーリの名前が登場します。

神話における役割

ブーリは、北欧[[神話]]の神々の系譜において、最古の神であると同時に、その後の神々の誕生の基礎となった存在です。彼は、直接的に神話の物語に関わることは少ないものの、神々の系譜を理解する上では欠かせない存在と言えるでしょう。その特異な誕生の物語は、北欧[[神話]]の根源的な世界観を反映していると考えられます。

参考文献

谷口幸男「スノリ『エッダ』「詩語法」訳注」『広島大学文学部紀要』第43巻No.特輯号3、1983年。
V.G.ネッケル他編『エッダ 古代北欧歌謡集』谷口幸男訳、新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。

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