プーバラン

プーバラン：カップヌードルのエビとして知られる小型エビ

プーバラン (学名: Metapenaeus dobsoni) は、インド太平洋熱帯・温帯域に広く分布するクルマエビ科のエビです。全長は最大でも12.5cmと比較的小型ですが、その鮮やかな色合いと、加工食品への適性から、世界中で食用とされています。特に日本では、日清カップヌードルの具材として広く知られています。

分布と生息環境

インド西海岸、マレーシア、フィリピン、インドネシアなど、インド太平洋の広い範囲に生息しています。インドでは、成体は水深37m以浅の泥底に、幼生は河口域や川で見られます。

形態

プーバランは、他のクルマエビ類と比べて小型です。甲殻は半透明で、赤色の斑点が散らばる美しい見た目です。甲殻の上縁には8～9本の歯があり、表面にはビロード状の細かい毛が生えています。

名称

日本では「プーバラン」という名前で呼ばれることが多いですが、原産地であるインド西海岸などでは、生息場所や大きさによって呼び名が異なります。マラヤーラム語やヒンディー語圏では、海から離れた場所で獲れる小型のものは「テーリ・チェンミン」や「タリ・チェミン」、海で獲れる大型のものは「プーヴァーレン・チェンミン」と呼ばれています。英語圏では、「Poovalan」の他に「Kadal Shrimp」や「Pink Shrimp」といった名前でも流通しています。

利用

プーバランは、主にトロール網で漁獲されます。むきエビとして加工され、様々な食品に使われています。茹でると緋色を帯びたオレンジ色になり、フリーズドライ加工をしても色や風味、形が損なわれにくいため、インスタント食品やピラフ、エビ焼売などに最適です。一般のスーパーマーケットで「プーバラン」の名前で売られていることは少ないですが、多くの加工食品や飲食店で利用されています。

カップヌードルとの関わり

日清カップヌードルの開発において、具材として使用されるエビの選定は非常に重要でした。開発チームは、世界中から60種類以上のエビを集め、その中からプーバランを選びました。その理由は、プーバランがフリーズドライ加工に適し、色や風味、形が崩れにくいという点です。大阪市内のホテルで提供されていたシュリンプカクテルに使用されていたことがきっかけとなり、選定に至ったと言われています。当時、プーバランは乾燥小エビとして最高級品であり、1972年当時の原価は1kgあたり4500円にも上りました。

カップヌードルのエビの種類は、当初は原材料表記に記載されていなかったため、「謎のエビ」と呼ばれていました。小ささからオキアミではないかと推測する声もありましたが、オキアミはプーバランと見た目、味、食感など全てにおいて異なるため、代用することはできません。また、フリーズドライ加工後の外観から、昆虫の幼虫ではないかという都市伝説も存在しています。

まとめ

プーバランは、その鮮やかな色と風味、そして加工のしやすさから、世界中で愛されるエビです。特にカップヌードルの具材として有名で、その存在は、私たちの食生活に密接に関わっています。小型ながら、その存在感は非常に大きく、これからも様々な食品で活躍していくことでしょう。

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