ペイトン

ペイトンの生涯と業績

ペイトン（PeithonまたはPithon）は、紀元前355年頃から紀元前316年まで生きたマケドニアの将軍であり、アレクサンドロス大王のもとで名将として知られていました。彼はディアドコイの一人とされ、アレクサンドロスの多くの戦役に参加していましたが、その武勲はあまり知られていません。ペイトンの背景としては、彼がエオルダイアの貴族出身であり、指導的人物としての資質を備えていたことが挙げられます。

アレクサンドロスの側近としての活動

ペイトンは、アレクサンドロス大王の側近護衛官として東方遠征に参画しました。この時期、彼はインドにおいて三段櫂船の艤装に従事し、紀元前323年のアレクサンドロスの死に際しては、他の将軍たちと共にサラピス神殿で神託を問う場面にも関わりました。この時、彼の立場はアレクサンドロスの死後の動乱期における重要なものとなります。

ディアドコイ戦争への参戦

アレクサンドロスの死後、バビロン会議でペイトンはメディア太守として任命されました。メディアは戦略的に重要な地域であり、彼はそこでの統治を任されることになりましたが、その広大な領土を一人で治めるには限界があり、北部はアトロパテスに委任された結果、彼の管轄は制限されました。この年、バクトリアに入植していたギリシア人が反乱を起こし、彼はペルディッカスの命令でその鎮圧に向かいました。

ペイトンは、反乱軍を12000の歩兵と3000の騎兵で撃退しましたが、彼は反乱者を許し彼らを自らの部隊に統合しようとしていました。しかし、ペルディッカスの命令に従い、彼の兵士たちは反乱者を虐殺し、ペイトンの意図は実現しませんでした。その後、彼はペルディッカスの元に戻ります。

ペルディッカスの暗殺と新たな政治的動向

紀元前321年、ペイトンはペルディッカスのエジプト遠征に参加しますが、作戦の失敗を受けて彼を見限り、同僚のセレウコスやアンティゲネスと共にペルディッカスを暗殺する決断を下しました。この後、プトレマイオスとの交渉を通じて、新たな摂政に彼とアリダイオスが推挙されましたが、最終的にはアンティパトロスが摂政となりました。

政治的な権力争いと最期

その後もペイトンはメディア太守の地位を維持し、さらなる権力拡大を狙いました。彼は自らの弟を高地太守に据え、他の太守との連合を形成しようと試みましたが、紀元前317年には東方連合軍の反攻に遭い敗北。彼はセレウコスのもとに逃れ、その後は彼と共にアンティゴノスに対する戦争に投入されました。この戦事において、ペイトンはしばしば指揮権を受けるなど、重要な役割を果たしました。

しかし、アンティゴノスに対する野心から、彼は捕えられ処刑されてしまいます。これがペイトンの短いが波乱に満ちた生涯の幕を下ろすこととなりました。

参考文献

• - アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』
• - クルティウス・ルフス『アレクサンドロス大王伝』
• - ディオドロス『アレクサンドロス大王の歴史』
• - プルタルコス『プルタルコス 英雄伝』
• - ポンペイウス・トログス / ユスティヌス『地中海世界史』

ペイトンの人生は、マケドニア帝国の興隆と衰退の一端を担った歴史的な人物の興味深い側面を浮き彫りにしています。

もう一度検索