ベルホヤンスク

ベルホヤンスクは、ロシア連邦のサハ共和国に位置する都市で、ヤクーツク市から北東へ約675km、ヤナ川のほとりにあります。北極圏内に位置し、河港と空港を有するこの街は、毛皮の取引やトナカイ飼育で知られています。また、周辺には錫の鉱山も点在しています。

人口は2010年時点で約1300人と少なく、かつては町政が施行されていましたが、人口減少が続いた結果、ロシア国内でも人口が少ない町の一つとなっています。町の名前は「ヤナ川の上流の町」を意味し、地理的な特徴を表しています。

歴史

ベルホヤンスクの歴史は1638年にコサックがこの地に住み着いたことから始まります。1775年にヤナ川の左岸（東岸）に移転し、税制が確立されました。1817年には町政が施行されましたが、1860年代から1917年までは政治犯の流刑地としても使用されました。

地理

ベルホヤンスクは北緯67度32分45秒、東経133度23分13秒に位置し、標高は137mです。東西にそれぞれ約200km離れてベルホヤンスク山脈とチェルスキー山脈がそびえ、その間にヤナ川水系が広がっています。ヤナ川は全長872km、流域面積は23万8000平方kmに及ぶ大河です。

ベルホヤンスクは、このヤナ川の支流に沿って発展しましたが、川の流れは激しく蛇行し、変化を繰り返しています。そのため、現在の川の流れからは約500mほど離れた場所に位置しています。街は南北に細長く、長さ約3.5km、幅約600mの紡錘形をしており、建物は数本の道路沿いに点在しています。

気候

ベルホヤンスクは、内陸盆地に位置するため、オイミャコンと並び世界の寒極として知られています。冬の寒さは非常に厳しく、気温は氷点下50度を下回ることもあります。観測史上最低気温は1885年と1892年に氷点下67.8度を記録しており、これは北半球の最低気温記録として認められています。

2006年1月には氷点下66.7度が記録され、過去の記録に迫る寒さとなりました。一方で、夏は緯度の割に気温が上昇し、日中は摂氏30度以上になることもあります。このため、年間の気温差は105.8度にも達し、北半球で最大の気温差を記録しています。

また、2020年6月20日には、北極圏で観測史上最高気温となる摂氏38.0度を記録しました。この記録は、2021年12月に世界気象機関によって公式に認定されました。

ベルホヤンスクでは、冬に「冷気湖」と呼ばれる独特の気温逓減が見られます。これは、通常は標高が高くなるほど気温が下がるのに対し、ベルホヤンスクでは標高が高くなるほど気温が上がるという現象です（それでも極寒であることには変わりありません）。

気候区分では、ベルホヤンスクは亜寒帯湿潤気候（Dfd）に属しており、「針葉樹林気候」としても知られています。

参考資料

en:Verkhoyansk 6/11/2006 0:53 (UTC)
世界でいちばん寒い国―日本人はじめて“寒極”へ行く 岡田安彦著 (1966)
* 世界で一番寒い街に行ってきた ベルホヤンスク旅行記 まえだなをこ著 (2018)


ベルホヤンスクは、その厳しい気候条件にもかかわらず、独特の魅力を持つ場所です。

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