ペシャワール会

ペシャワール会について

ペシャワール会は、1983年に設立された非政府組織であり、医師中村哲を支援しながら、パキスタンおよびアフガニスタンにおいて医療活動を行っています。主に北西辺境州とアフガニスタン北東部で活動しており、地域の人々の生活改善を目指しています。

設立のきっかけ

中村院長は、ハンセン病の治療から活動を開始しましたが、2000年に発生した大旱魃によって赤痢患者が急増したことを受け、飲料水の確保にも取り組む必要があると感じました。この問題の解決を目指し、農村の自給自足を支えるための農業支援にも注力するようになりました。さらに、2001年のアフガニスタン空爆に対する緊急支援として「アフガンいのちの基金」を設立し、国内避難民に食糧を配布。これを契機に「緑の大地計画」と呼ばれる農村復興事業を展開しました。

主な活動

アフガニスタンでは、クナール川の運河計画に携わり、ジャラーラーバード周辺の厳しい環境を緑豊かな土地へと変革しています。タリバンの政権奪取により活動が一時的に中断されたものの、2021年には診療所と灌漑事業が再開され、地域の人々への支援が続いています。

医療事業

1991年にはナンガルハール州に3つの診療所を開設し、地域に多い栄養失調の問題を認識。その後、農業と灌漑に関わる活動が強化され、運河プロジェクトの建設にも取り組んできました。これにより、安定した医療サービスを提供しつつ、食料自給率を向上させています。

水源確保事業

飲料水と農業用水の確保も重要な課題として捉え、地域に伝わる伝統的な技術を用いた井戸の設置やカナートの修復を進めています。アフガニスタンでは旱魃が大きな問題であり、慢性的な下痢が多くの子どもの死亡原因となっています。2003年からは、クズ・クナール地区におけるマルワリード運河の建設が開始され、これにより農業用水の確保が進みました。

農業支援

安定した生活基盤の回復を目指し、地域住民の雇用を進めています。特に紛争地域でのインフラ整備に携わることで、彼らが不安定な職業に流れ込むのを防ぐ手立てを講じています。

評価と受賞歴

これまでに数々の賞を受賞し、1993年の福岡県文化賞や2003年のマグサイサイ賞、さらに2020年には新潟国際賞を受賞しました。この活動を通じて、年間で15万人以上に医療サービスを提供し続けています。

残念な事件

2008年には、日本人スタッフが武装集団に拉致され、殺害される事件が発生しました。このことからも、危険な地域での活動の厳しさが伺えます。また、2019年には中村哲が殺害されるという衝撃的な事件もありました。彼の死は多くの人々に衝撃を与え、この活動の意義が改めて問われています。

まとめ

ペシャワール会は、困難な環境下でも地域の人々の生活向上に尽力する団体であり、その活動は国際的にも評価されています。中村の思想を受け継いだスタッフたちが、今後も人々のために力を尽くし続けます。

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