ポテイトーズ

ポテイトーズ：18世紀イギリス競馬史に輝く名馬

ポテイトーズ (Potoooooooo または Pot-8-Os, 1773年 - 1800年) は、18世紀イギリスを代表する競走馬にして種牡馬です。その名は、馬名の由来に関する逸話からもわかるように、競馬史において特異な存在感を放っています。しかし、その名を笑うだけでは片付けられないほどの、輝かしい競走成績と、現代競馬への計り知れない貢献を成し遂げた偉大なサラブレッドでした。

奇妙な名前の由来

ポテイトーズという名前は、本来「ポテト (potato)」を意味します。そのユニークな綴り「Potoooooooo」の由来には諸説あります。有力な説の一つは、馬丁がジャガイモを食べた際に、その名前を正しく綴れず、「Pot」の後に「o」を8個並べたというものです。馬主であるアビンドン伯爵はこの面白い綴りを正式な馬名として採用し、ポテイトーズはこうして競馬界にデビューすることとなりました。栗毛の毛色からそう呼ばれていたという説も存在します。読み方は複数形である「ポテイトーズ (potatoes)」で、ジェネラルスタッドブックにもこの表記が用いられていますが、現在は「Pot-8-Os」と略されることが多いです。

競走馬としての活躍

4歳でデビューしたポテイトーズは、翌年には1200ギニーのスウィープステークスを制覇します。その後、アビンドン伯爵はポテイトーズを1500ギニーと賞金の一部を条件にグローヴナー伯爵に売却。しかし、この売却はポテイトーズの輝かしいキャリアを妨げることはありませんでした。4歳から10歳までの間、ジョッキークラブプレートを含む34勝 (諸説あり) を挙げ、当時の競走馬としては最強クラスの実力を誇りました。エクリプス産駒としても最高の競走馬の一頭として名高い存在でした。

種牡馬としての成功

競走馬を引退したポテイトーズは、ケンブリッジシャーのオックスクロフトファームで種牡馬としてのキャリアをスタートさせます。種付け料は20ギニーと設定され、その後ニューマーケットのアッパーヘイルファームに移り、1800年11月に死亡するまでそこで過ごしました。種牡馬としての成功も目覚ましく、172頭もの産駒が勝利を収め、合計で6万2000ポンド (諸説あり) の賞金を獲得しました。

その産駒の中には、エプソムダービーを制したワキシー (Waxy, 1793年)、そしてチャンピオン (Champion, 1800年) など、競馬史に名を残す名馬が数多く含まれています。特にワキシーは、ホエールボーン (Whalebone) を輩出し、現代のサラブレッドの大半の父系祖先に繋がっています。さらに、ヘロド系の基幹種牡馬となったウッドペッカーとは同期で、ライバル関係にあったとされています。興味深いことに、ポテイトーズの産駒には、野菜やナス科の名前を持つ馬も多く存在します。例えば、ナイトシェイド (Nightshade, エプソムオークス) やラディッシュなどです。

ポテイトーズの遺産

ポテイトーズは、その奇妙な名前と華々しい競走成績、そして現代競馬に多大な影響を与えた種牡馬としての成功によって、イギリス競馬史に不滅の足跡を残しました。エクリプスの産駒として、そして現代サラブレッドの父系祖先として、その血統は今も脈々と受け継がれ、世界中の競馬界に大きな影響を与え続けています。その功績は、単なる珍名馬として片付けるにはあまりにも大きく、真に偉大な競走馬、種牡馬であったと言えるでしょう。ポテイトーズの物語は、競馬の歴史、そしてサラブレッドという血統の神秘性を改めて考えさせる、貴重な一例となっています。

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