ライトトラック

ライトトラック：アメリカと日本の違い

アメリカ合衆国で用いられる「ライトトラック (light truck)」または「ライトデューティートラック (light duty truck)」は、貨物積載量が4,000ポンド（約1,815kg）未満のトラックやトラックをベースにした車両を指す分類です。日本では「軽トラック」と誤解されることもありますが、実際には日本の普通自動車免許で運転できない大きさの車両も含まれるため、注意が必要です。

北米で販売されているピックアップトラック（例：フォードFシリーズ、ダッジラム、トヨタタンドラなど）の中には、日本の普通自動車免許（2017年以降、総重量3.5t、積載量2t）では運転できないものがあります。積載量と車両重量だけで比較すると、日本のいすゞエルフや三菱ふそうキャンターなどの2tトラックが近い存在と言えるかもしれません。しかし、日本のピックアップトラックは、アメリカにおけるフルサイズのライトトラックと比べるとはるかに小型です（例：トヨタハイラックスGUN125の最大積載量は500kg）。

アメリカにおける法的定義

アメリカ合衆国連邦規則集では、ライトデューティートラックを以下の3つの条件のいずれかを満たす、車両総重量（車両重量と貨物重量の合計）が8,500ポンド（約3,855kg）以下のモータービークルと定義しています。

1. 財産や所有物の輸送を目的として設計された車両、またはその派生物
2. 人の輸送を目的として設計され、定員が12人以上である車両
3. 公道外での作業や使用を可能にする特殊な機能を備えた車両

ライトトラックの種類と燃費規制

ライトトラックには、バン、ライトバン、ミニバン、ピックアップトラック、スポーツ・ユーティリティ・トラック（SUT）、スポーツ・ユーティリティ・ビークル（SUV）が含まれます。アメリカ合衆国政府は、企業平均燃費（CAFE）基準において「ライトトラック」を車両クラスとして使用しており、バン、ミニバン、SUV、ピックアップトラックが含まれます。

これらの車両は、主に業務用途、農業、インフラ関連の建設業で使用されるという前提の下、一般的な乗用車よりも緩い燃費基準が適用されてきました。しかし、近年、アメリカで販売されるライトトラックが個人用途で用いられるケースが増えているため、より厳しい燃費基準を適用すべきだという主張も出ています。その根拠の一つとして、一部のライトトラックはユニボディ構造を採用しており、ボディ・オン・フレーム構造よりも耐久性に劣り、業務用途での酷使には適していないという点が挙げられます。セダンピックアップやクロスオーバーSUVなどがその例です。

チキン戦争とライトトラックへの関税

1963年、アメリカとヨーロッパの間で発生した「チキン戦争」と呼ばれる貿易摩擦において、アメリカはヨーロッパからの報復として、デンプン、ライトトラックなど4品目に25％の関税を課しました。1979年には他の3品目の関税は撤廃されましたが、ライトトラックに対する関税は、現在もなお継続されています。この関税は「チキン・タックス」と呼ばれ、半世紀以上にわたって継続している貿易摩擦の象徴となっています。

まとめ

ライトトラックは、アメリカ合衆国独自の車両分類であり、日本の軽トラックとは大きく異なります。その定義、燃費規制、輸入関税の歴史などを理解することで、アメリカ自動車市場の現状をより深く理解することができます。また、日本車との比較を通して、両国の自動車文化の違いも垣間見ることができます。

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