ラク

ラク（Rakı）: トルコの蒸留酒

ラクは、トルコ独自の蒸留酒であり、その名前はアラビア語側の「アラック」に由来しています。この飲み物は、主にブドウを原料とし、アニスの香りが加えられています。無色透明な液体で、水を加えると特有の白濁が生じることが特徴です。この現象はトルコ語で「アスラン・スュテュ」（獅子の乳）と呼ばれ、そのビジュアルも印象的です。

アルコール度数と飲み方

ラクは、45パーセントから50パーセントのアルコール度数を持ち、通常は食前酒としてメゼ（小皿の前菜）と一緒に楽しまれます。この飲み方は、トルコの食文化に深く根ざしており、友人や家族と共に食事を囲む際に欠かせない要素となっています。また、東地中海地域にあるアラックやギリシャのウーゾといった他の同様の飲み物と共通点が多く、原材料や使用方法においても類似性が見られます。

トルコのワインとの関係

トルコ国内で生産されるワインの多くは、実際にはラクの原材料として利用されており、ワインとラクの関係は非常に密接です。日本では「イェニ・ラク」や「テキルダー」など、さまざまな種類のラクが見られることが多く、輸入されています。

密造酒の問題

トルコでは税金の影響により価格が高くなるため、密造酒の製造が横行しています。特にメタノールなどの有害物質で増量された粗悪品は、地元住民だけでなく外国からの観光客にも危険を及ぼした事例があります。2011年にはロシア人観光客も被害に遭い、この問題の深刻さが示されました。そのため、当局はメルスィンにある密造酒製造所を摘発し、22人の関係者を逮捕しました。その後もイスタンブールやアンタルヤでも密造酒関連の摘発が続いています。

関連する文化と歴史

ラクは、トルコの社会や文化の一部を形成しており、特に飲酒に対するイスラム教の観点からも興味深いテーマです。トルコ出身の国家設立者、ケマル・アタテュルクが過剰にラクを摂取して肝硬変を引き起こしたという歴史的なエピソードも存在します。これらの背景を考慮すると、ラクは単なる飲み物であるだけでなく、トルコの文化や歴史との関連性が深いことが理解できます。

ラクは、トルコを訪れた際にぜひ体験したい飲み物の一つであり、その楽しみ方や背景について学ぶことでより一層の理解を深めることができるでしょう。

もう一度検索