メルスィン

メルスィンは、トルコ南部に位置し、地中海に面した重要な港湾都市であり、メルスィン県の県都です。歴史的には、ローマ帝国時代にはキリキアの一部であり、主要な港として機能していました。当時はゼフィリウムと呼ばれていましたが、ハドリアヌス帝の時代にハドリアノポリスと改称されました。

ローマ帝国分裂後、ビザンティウムの支配下に入り、投資と貿易が活発化しました。この時期にキリスト教が広まり、司教座が置かれました。その後、アラブ人、エジプトのトゥールーン朝、セルジューク・トルコ、モンゴル、十字軍、アルメニア人、マムルーク朝、ベイリクなど、支配者が次々と変わりましたが、1473年にオスマン帝国に征服され、1517年にはセリム1世の属国となりました。

19世紀に入ると、アメリカ独立戦争の影響で綿の需要が高まり、メルスィンはその供給地として重要になりました。1866年には鉄道が敷設され、綿は海上輸送されるようになり、主要な貿易港として発展を遂げました。第一次世界大戦後、1918年にはセーヴル条約に基づき、フランス軍とイギリス軍に占領されましたが、1920年にはトルコ軍によって解放されました。

1993年にメルスィン市は大都市自治体に指定され、その後、指定範囲は拡大しました。2012年の行政区画改編により、大都市自治体の指定範囲はメルスィン県全域に広がりました。現代では、製油所や製粉工場などの工業が盛んで、小麦、綿花、羊毛、クロム鉱などを輸出しています。キプロス島とのフェリー航路も開通しており、交通の要衝としても重要な役割を果たしています。

さらに、近郊のギュルナル郡ビュユケジェリ町では、トルコ初の原子力発電所であるアククユ原子力発電所の建設が進められています。メルスィンは、歴史的な背景と現代的な発展が融合した都市として、トルコ経済において重要な位置を占めています。

気候については、地中海性気候であり、温暖で過ごしやすいのが特徴です。年間を通して穏やかな気候であり、観光地としても人気があります。

姉妹都市としては、日本の和歌山県東牟婁郡串本町（1994年7月31日締結）、シリアのラタキア、ドイツのノルトライン＝ヴェストファーレン州オーバーハウゼン（2004年締結）と交流があります。

メルスィンは、多様な文化が交錯する歴史と、現代的な産業が発展する都市であり、トルコ南部における重要な拠点として、今後の発展が期待されています。

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