ローゼル

ローゼル (Hibiscus sabdariffa)

ローゼルは、アオイ科フヨウ属に属する植物で、一般的には「ローゼルソウ」として知られています。別名として「レモネードブッシュ」や「ロゼリ草」などがあり、風味がスイバに似ていることから、「フレンチ・ソレル」とも呼ばれることがあります。主に熱帯地域で栽培されており、その用途は多岐にわたります。

分布

この植物の起源にはいくつかの説があります。一つは西アフリカ原産であるというもの、もう一つはインドからマレーシアにかけた地域を起源とするという説です。17世紀には奴隷貿易が活発化したことがきっかけで、西インド諸島や中南米にまで栽培が広がり、今では熱帯地方で広く見られるようになっています。

特徴

ローゼルは高さ2〜3メートルに育つ亜低木で、滑らかな赤紫色の茎を持ちます。その葉は楕円形または3深裂し、互生して配置されています。また、花はクリーム色で、9月から11月にかけて開花します。開花後、萼と苞が肥厚して赤く熟し、花弁の基部が暗赤色になるのも特徴です。

利用方法

ローゼルの萼や苞は酸味があり、生食できます。また、これらの部分はジャム、ゼリー、酒、ハーブティー、清涼飲料などに利用されます。特に注目されるのは、その花や果実（正確には肥大した萼と苞）を使った「ハイビスカス・ティー」で、酸味のある赤い飲み物として広く親しまれています。ビタミンCやクエン酸が豊富なため、風邪や喉の痛みに対する効果が期待され、さらに利尿作用や穏やかな下剤としても使用されています。このため、ダイエット効果を謳った商品も多く見られます。

エジプトではこの飲み物を「カルカデ」と呼び、メキシコでは冷やして提供される「アグア・デ・ハマイカ」という名称で知られています。また、西アフリカ各国では、濃く煮出して砂糖を加え、冷凍したハイビスカスティーが販売され、セネガルでは「ビサップ」、ガーナやナイジェリアでは「ソボロ」として知られています。

ローゼルは他のハーブとブレンドされて飲まれることもあり、特にローズヒップとの混合が人気で、成分の相乗効果が期待されています。

その他の利用

ブラジルの日系人社会では、ローゼルの塩漬けが「花梅」と呼ばれ、作り方は梅干しとほとんど同じです。また、古くから「洛神花」という生薬としても利用されており、その健康効果からも注目されています。

まとめ

ローゼルは、その美しく鮮やかな花と多様な利用法で知られる植物です。特にハイビスカス・ティーはその豊かな風味だけでなく、健康面でも多くの利点があるため、世界中で愛され続けています。

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