フヨウ属

フヨウ属（Hibiscus）とは

フヨウ属は、アオイ科に属する植物のグループで、学名を Hibiscus といいます。世界中の熱帯・亜熱帯地域を中心に、一部温帯地域にも分布しており、その種類は250種にも及びます。一年草、二年草、多年草の草本から低木、高木まで、様々な生育形態を持つのが特徴です。多くの種が、観賞用、食用、繊維用として栽培されています。

英語では、種によって hibiscus や rosemallow など様々な名前で呼ばれます。また、会話の中では、同科のタチアオイと区別せずに hollyhock と呼ばれることもあります。日本語では一般的に「ハイビスカス」という言葉が使われますが、これはより狭い意味で用いられることが多いです。

概要

フヨウ属の植物は、アオイ科に属する落葉低木で、約200種が知られています。花は5枚の花弁を持ち、両性で放射相称です。開花の特徴として、朝に花が開き、夕方にはしぼみ、翌朝再び開くというサイクルを繰り返します。葉の形は種によって大きく異なります。
フヨウ属の代表的な観賞植物としては、フヨウ、ムクゲ、ブッソウゲなどが挙げられます。絵文字では🌺で表現されます。

主な種

フヨウ属には、以下のような様々な種類があります。

フヨウ (Hibiscus mutabilis)：西日本から沖縄県にかけて広く見られ、観賞用として栽培されています。
*サキシマフヨウ (Hibiscus makinoi)：鹿児島県西部の島から台湾にかけて分布しています。
*ムクゲ (Hibiscus syriacus)：庭木として親しまれており、3mを超える高さに成長します。韓国の国花でもあります。
*ブッソウゲ (Hibiscus rosa-sinensis)：「ハイビスカス」という言葉で最も一般的にイメージされる種類です。英語では Chinese hibiscus と呼ばれ、マレーシアの国花です。
*モミジアオイ (Hibiscus coccineus)：夏の庭によく見られ、北米原産です。
*ハマボウ (Hibiscus hamabo)：西日本各地の沿岸部に自生しています。
*オオハマボウ (Hibiscus tiliaceus)：奄美群島以南に分布しており、「ユウナ」とも呼ばれます。
*ローゼル (Hibiscus sabdariffa)：いわゆるハイビスカスティーに使われる種類です。
*ケナフ (Hibiscus cannabinus)：環境に優しい植物として、一時期日本で栽培が盛んになりました。南アジア原産です。
*ギンセンカ (Hibiscus trionum)：淡い黄色の花を咲かせ、開花時間が短いため、英語では「Flower of an hour」と呼ばれています。

ハワイのハイビスカス

ハワイ諸島は、ハイビスカスの品種改良の中心地です。9種の野生種に加え、ブッソウゲやフウリンブッソウゲなどが持ち込まれ、20世紀初頭から交配が進められました。その結果、5,000種にも及ぶ品種が誕生しました。詳細は、英語版の Hawaiian hibiscus の記事で詳しく解説されています。

ハイビスカス・ティー

ローゼル（Hibiscus sabdariffa）は、アフリカ原産の植物で、花や肥大した萼がハーブティー（ハイビスカスティー）として利用されます。他のハーブとブレンドされることも多く、赤色で酸味があり、ビタミンCが豊富に含まれていると言われています。

画像

[画像：ハイビスカスのイメージ画像]

脚注

[注釈]

[出典]

[参考文献]
松岡清久 著「ハイビスカス」、小学館 編『日本大百科全書』小学館〈スーパーニッポニカProfessional　Win版〉、2004年2月。ISBN 4099067459。
湯浅浩史 著「ハイビスカス-文化史」、小学館 編『日本大百科全書』小学館〈スーパーニッポニカProfessional　Win版〉、2004年2月。ISBN 4099067459。
立花吉茂「ハイビスカスの謎」『植物屋のこぼれ話』淡交社、1990年5月。ISBN 4473011461。

もう一度検索