上永谷

上永谷（かみながや）

神奈川県横浜市港南区に位置する上永谷は、都市機能と住宅地としての性格を併せ持つ町名です。この地域は、行政上の区分として、住居表示が実施されている上永谷一丁目から六丁目までのエリアと、上永谷五丁目から隣接する丸山台を挟んで南側に位置し、現在も住居表示が実施されていない上永谷町の二つの部分から成り立っています。

地理

上永谷の町域を東西に横断する主要幹線道路に環状2号線があります。この道路を境にして、町の北側が一丁目から四丁目のエリア、南側が五丁目と六丁目のエリアに区分されます。町の東部では、環状2号線が横浜横須賀道路と交差していますが、高速道路への直接の出入り口となるインターチェンジは当地には設けられていません。公共交通機関の面では、町の南部を横浜市営地下鉄ブルーラインが通っており、地域住民の主要な交通拠点である上永谷駅は、厳密には上永谷ではなく隣接する丸山台に設置されています。

歴史的変遷

上永谷とその周辺地域は、近代以降、幾度かの行政区画の変更を経て現在の姿となりました。明治維新後の1889年、相模国鎌倉郡に属していた永谷村、上野庭村、下野庭村の全域、そして平戸村の一部が集まり、永野村が誕生しました。この永野村内には、旧村名を継承する形で永谷、上野庭、下野庭、平戸の4つの大字が設けられています。

その後、1936年10月1日には永野村が横浜市に編入され、中区の一部となりました。この編入の際、旧大字永谷は上永谷町と下永谷町に再編成され、旧大字上野庭と下野庭は野庭町となりました。下永谷町には旧大字平戸が編入されています。太平洋戦争中の1943年12月1日には、市の行政区再編成により南区に移管され、さらに高度経済成長期を経て、1969年10月1日には新たな行政区として誕生した港南区の一部となりました。

昭和後期から平成にかけて、町の発展に伴う土地区画整理事業や住居表示の実施が段階的に進められました。1972年には笹下町の一部が編入され、1977年や1990年には土地区画整理に伴い一部が野庭町に編入されるといった町域の微調整が行われています。特に大きな変更としては、1979年7月23日に行われた上永谷第一次地区の住居表示実施が挙げられます。これにより、上永谷町、下永谷町、野庭町のそれぞれの一部から、現在の中心部である上永谷一丁目から六丁目が新設されるとともに、上永谷町の一部からは丸山台一丁目から四丁目が誕生しました。さらに1980年11月10日には、上永谷町や周辺地域の一部から日限山（ひぎりやま）が、また上永谷町の一部が戸塚区の南舞岡に編入されるなど、広範囲にわたる町域の変更がありました。1990年7月9日にも、上永谷六丁目の一部が下永谷三丁目に編入されています。

現在も住居表示が実施されずに残っている上永谷町のエリアは、主に市街化調整区域に指定されており、都市化が抑制されています。「上永谷」という地名の由来については、地域の地形、すなわち「長い谷」にちなむものとする説が有力視されています。

地価の状況

住宅地としての地価は、地域の利便性や環境によって変動します。2024年（令和6年）1月1日時点の公示地価をみると、上永谷1-27-3の地点では1平方メートルあたり20万4000円、上永谷3丁目5166番30の地点では1平方メートルあたり14万5000円、上永谷6-14-6の地点では1平方メートルあたり18万5000円という価格が示されています。これらの数値は、場所ごとの交通アクセスや周辺施設の充実度などが反映されたものであり、上永谷地域の住宅地における不動産価値の一端を示しています。

主な施設

地域内には、長い歴史を持つ永谷天満宮や、曹洞宗の寺院である貞昌院などがあり、地域の精神的なよりどころとして、また歴史や文化を感じられる場所として親しまれています。

まとめ

横浜市港南区の上永谷は、住居表示の進んだ地域と、歴史的な経緯から現在も上永谷町として残るエリアが共存する町です。主要道路や地下鉄駅へのアクセス性を持ち、古くからの歴史を背景に持ちながらも、近現代にかけて大きくその姿を変えてきました。現在も住宅地としての整備が進む一方で、市街化調整区域も含む多様な性格を持つ地域です。

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