上砂川支線

上砂川支線は、北海道の空知地方、砂川市の砂川駅から空知郡上砂川町の上砂川駅までを結んでいた鉄道路線です。この路線は、幹線である函館本線の支線という位置付けがされていました。

路線の概要

営業キロはわずか7.3キロメートルで、軌間は在来線標準の1,067ミリメートル（狭軌）でした。途中駅を含め、駅は全部で5つ設置されていました。全線にわたって単線で、列車交換が可能な駅は存在しませんでした。電化はされておらず、ディーゼル列車が運行され、閉塞方式にはスタフ閉塞式が採用されていました。

歴史

上砂川支線のルーツは、三井鉱山が所有する三井砂川炭鉱で産出される石炭を輸送するための専用線でした。1917年に敷設が許可され、翌1918年11月5日に専用線として開業しました。この専用線は、三井鉱山が用地と建設資金を提供し、鉄道院が敷設・管理するという異例の形態でした。工事の竣工は1919年6月とされています。

その後、1926年8月1日には国有鉄道に編入され、函館本線の一部として正式に「上砂川支線」となりました。同時に、旅客営業も開始され、上砂川駅が新たに設置されました。以来、地域の足として、また石炭輸送路として機能します。

国鉄末期の財政再建策として多くの赤字ローカル線が廃止の対象となる中で、上砂川支線は特定地方交通線に指定されませんでした。これは、独立した路線としてではなく、函館本線の一部として輸送密度が合算されたためです。実態としては、当時の三井砂川炭鉱の出炭量は年間約100万トンでしたが、路線の貨物輸送密度は幹線基準を満たしていませんでした。しかし、幹線である函館本線の一部とみなされたことで、特定地方交通線はおろか地方交通線にも指定されず、幹線として存続が決定したのです。

奇しくも、同じ砂川駅を起点とし、沿線風景や運炭路線としての性格を共有しながらも、上砂川支線とほぼ並行して走っていた歌志内線は、1988年に一足早く廃止されました。両線は場所によってはわずか1キロメートルほどしか離れていませんでしたが、函館本線の「支線」であった上砂川支線が「幹線」として存続したのに対し、歌志内線が独立した「地方交通線」として廃止対象となったことは、当時の特定地方交通線選定基準の硬直性を示す典型的な事例として語り継がれています。

1987年4月1日の国鉄分割民営化に伴い、上砂川支線は北海道旅客鉄道（JR北海道）に承継されました。同時に日本貨物鉄道（JR貨物）も第二種鉄道事業者として貨物輸送を行いましたが、石炭産業の衰退により主要な収入源であった石炭貨物輸送は終焉を迎え、1987年3月24日に貨物列車は廃止されました。JR貨物の第二種鉄道事業も1992年4月1日に廃止されています。

炭鉱の閉山に加え、沿線地域の過疎化による旅客減少も進み、路線の経営維持が困難となります。ついに、1994年5月16日をもって全線が廃止され、66年間の歴史に幕を下ろしました。短い支線でありながらも、上砂川支線はJR北海道発足後としては初めて廃止された「幹線」という位置づけの路線となりました。代替交通機関としては、廃止以前から並行して運行されていた北海道中央バスの路線が利用されました。

運行と車両

運行本数は時代とともに変化しました。最盛期とされる1959年5月1日時点では19往復の列車が運行されていましたが、廃止間際の1986年11月1日改正時点では、一日6往復まで減少していました。全線の所要時間は下り列車が16分、上り列車が13分でした。末期には、上砂川行きの始発列車が下鶉駅と東鶉駅を通過するダイヤも存在しました。

使用された車両は、民営化後しばらくはキハ56形+キハ27形の2両編成が見られましたが、その後はキハ54形500番台が主力となりました。やがてキハ40形100番台に置き換えられ、1990年3月10日のワンマン運転開始以降は、主にキハ22形700番台、末期にはキハ40形700番台が使用されました。

廃止時点の駅

砂川駅 - 下鶉駅 - 鶉駅 - 東鶉駅 - 上砂川駅

全ての駅は単線上に位置し、列車交換はできませんでした。

その他

上砂川駅は、高倉健主演の映画「駅 STATION」（1981年公開）や、倉本聰脚本のテレビドラマ「昨日、悲別で」（1984年放送）において、それぞれ物語の重要な舞台となる駅としてロケ撮影が行われました。廃止された現在も、かつての線路跡や駅跡の一部が地域の歴史遺産として残されています。

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