中常侍

中常侍とは

中常侍（ちゅうじょうじ）は、古代中国における官職であり、特に皇帝の近くで仕える者たちを指します。その歴史は秦代から始まり、前漢や後漢時代において特有の役割として発展していきました。

歴史的背景

秦・前漢期

中常侍の起源は、前漢時代にさかのぼります。前漢の官制について記された『漢書』の百官公卿表では、奉車都尉やその他の官職とともに中常侍が言及されていますが、秦代の文献にはその名は見当たりません。したがって、具体的な始まりははっきりしません。しかし、前漢の景帝や武帝の時代には、兼任として常侍となる者が出現し、中常侍の地位と親しい関係にあったと考えられます。文献の中で中常侍が初めて登場するのは元帝の時代で、紀元前48年から紀元前33年の間です。中常侍は他の官職を持つ者が兼任する形で存在し、そのため定員は特に決まっていませんでしたが、その役割は皇帝に対して近い位置で仕えることに重大な意義を持っていました。

後漢期

後漢に入ると、特に永元4年（92年）以降、中常侍は宦官専任の官職として確立されました。この新たな役割は、宦官の中では大長秋に次ぐ重要な地位となりました。後漢では、中常侍は侍中とともに皇帝の命令を取次ぎ、顧問として機能することができました。侍中は厳格に禁中への立ち入りが制限されていたため、彼らとは異なり、中常侍は皇帝の居場所である禁中に自由に出入りすることができ、これにより政治的な影響力をさらに強めていきました。

この時期の有名な中常侍には、製紙法を発明した蔡倫や、三国志に登場する十常侍などが存在します。彼らは宦官の権力の一端を担い、皇帝の近くで重要な役割を果たしていました。

中常侍の役割

中常侍は、皇帝と他の高官との仲介役として機能し、その特権や権限は時にとても大きくなりました。彼らは皇帝に対し直接進言することも可能であり、特に後漢の時代においてはその影響力を着実に増していきました。また、中常侍の存在は、皇帝が推薦した者によるものであり、その信任に基づいて宮中での役割を果たしていました。

結論

中常侍は古代中国の官職の中でも特にユニークなものであり、時間と共にその役割が変化していきました。後漢時代の中常侍の力は、時として政治的な状況を大きく変える要因にもなっていました。彼らは政府機構の一部として、皇帝の信任のもと近くで支える存在であり続けました。

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