五障

五障（ごしょう）についての考察

概要

五障とは、ブッダが没してからしばらくの後、一部の仏教宗派に導入された概念であり、女性が抱えるとされた五つの障害を指します。この考え方は「女人五障」とも呼ばれ、女性は梵天王、帝釈天、魔王、転輪聖王、仏陀になることができないとされる説が広まりました。

歴史的背景

五障という言葉自体は紀元前1世紀に初めて仏典に記載されており、それ以前の原始仏教の文献には存在しません。また、この概念は、紀元前2世紀頃に登場した「三従」と密接に関連しており、セットで「五障三従」と呼ばれることもあります。

経典での記述

『法華経』では、女人が持つ五障について詳しく記されています。特に『提婆達多品』には、女性の体には五つの障害が存在し、それを克服しない限り成仏が難しいとされている一節があります。ここで、シャーリプトラ長老が成仏を果たした龍女に語りかける場面が記録されています。龍女は釈迦如来に宝珠を捧げることで、成仏を証明し、瞬時に男性へと変化する描写が印象的です。

五障三従の関連

龍樹菩薩の著作である大論九十九巻には、女性が成長段階に従って父母、夫、子に従う「三従」の理論が述べられています。この理論は仏教特有のものではなく、儒教の文献にも類似の考え方が見られます。またいるため、五障は女性の生き方や社会的立場にも影響を与えました。

女人成仏の願望

如来が菩薩であった頃に立てた願いの中でも、女人成仏に関する問題が取り上げられています。『無量寿経』や『薬師瑠璃光如来本願功徳経』では、阿弥陀如来と薬師如来が女性を男性に転生させた上で成仏を促す形が記されています。このように、仏教の中では女性の成仏に対する希望が論じられています。

阿羅漢になった女性たち

摩訶波闍波提（ゴータミー）など、阿羅漢位を達成した女性の存在も知られています。『テーリーガーター』には、解脱や涅槃に至った女性たちの生活や境遇が記載されています。しかし、性別によっては阿羅漢になれるものの、同じく仏陀の称号に相当する「正等覚者」にはなれないとされている点が、仏教における性差が課題となっています。

その他の五障

実際には、五障という名称は他の経典にも登場しますが、ここでの五障は女性に特有のものでなく、欲望、怒り、睡眠、悪行、疑念の障害を指す場合もあります。これらの五障は、一般的に人間が解放されるべき内面的障害を示しています。従い、女性に特化した五障とは異なる視点も重要です。

結論

五障やその関連概念は、仏教における女性の位置づけや社会的制約を反映しており、多様な解釈や議論を生んできました。これらの考えを通して、仏教の教えをより深く理解することが可能となります。

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