優秀船舶建造助成施設

優秀船舶建造助成施設とは

優秀船舶建造助成施設（ゆうしゅうせんぱくけんぞうじょせいしせつ）は、1937年に開始された日本政府の造船振興政策で、高性能商船の建造費に対する補助金を提供しました。この政策は、特に国際情勢の悪化に伴い、有事に備えた商船の質と量を強化することを目的としていました。実際、太平洋戦争においてこの助成を受けた船舶は特設艦船として戦力化され、その成果が求められました。

成立の背景

この助成施設は、昭和恐慌を経た後、商船の更新や造船需要の喚起を求める声に応える形で誕生しました。1932年から1936年の間に実施された船舶改善助成施設の成功を踏まえ、より高性能な船舶を建造するための新たな政策が必要とされていました。さらに、日本周辺の国際情勢が緊迫化する中、軍部からも新たな商船の調達が要求されていたため、海運業界からの要望と軍事的な必要性が交錯していたのです。

政策の具体例

優秀船舶建造助成施設は、商船の種類を拡大し、第1種として貨客船、第2種として貨物船やタンカーを対象にしました。これにより、船舶の建造目標はそれぞれ15万総トンとなり、予算額は第1種に4,469万円、第2種に600万円が設定されました。助成金の支給にあたっては、いくつかの要件があり、たとえば6000総トン以上、速力19ノット以上といった条件が設けられました。さらに、設計段階では模型による試験や国産資材の使用を義務付けるなど、国防に特化した要求が盛り込まれていました。

建造された船舶

最終的には、第1種船11隻、第2種船15隻が竣工しましたが、計画段階であった船舶の一部は日米関係の悪化により中止されました。中には「春日丸」のように、竣工前に海軍に買収され航空母艦として完成した船もありました。これは、そのままでは高性能な商船としての役割を果たすことが期待されたものの、有事にはその軍事的利用が前提とされたことを示しています。

大型優秀船建造助成施設

その後、1938年には大型優秀船建造助成施設が設けられ、さらに大型・高速な豪華客船の建造支援が行われることになりました。この政策は、経済的な観点からも厳しい側面があり、最終的には中型空母改造を視野に入れた船舶の建造が求められました。その結果、政府からの助成を受けた船たちは、実質的に軍用艦への改造を前提とした品質を考慮されることとなったのです。

結論

この優秀船舶建造助成施設は、日本の商船の質を向上させるだけでなく、国防においても重要な役割を果たしました。商船の建造が軍事目的に利用される中で、経済性と軍事的な要請が交錯し、当時の造船に影響を与えたことは注目に値します。こうした政策がどのように日本の海運業界に影響を与え、そして戦争に至る道を拓いていったのかを考える上でも、優秀船舶建造助成施設は重要な歴史的テーマと言えるでしょう。

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