剣菱酒造

剣菱酒造株式会社

剣菱酒造株式会社は、兵庫県神戸市東灘区に位置する日本酒の蔵元で、その代表的な日本酒「剣菱」シリーズが広く知られています。「ケンビシ」の愛称で親しまれ、地域の酒造りに深い関わりを持っています。

会社の概要

剣菱酒造は、灘五郷の一部である御影郷に本拠を構えています。起源は江戸幕末の文献にさかのぼり、元々は稲寺屋として1515年に設立され、その酒は江戸時代にも広く評判を得ていました。ただし、「剣菱」という名称が確立された時期については不明な点が多いです。1929年に現在の神戸市東灘区に移転し、現在に至ります。

過去には他社から酒を購入し自社ブランドで販売する（OEM）ことで評価を損なう時期もありましたが、その後自社製造に戻り再評価を得ています。現在では、冬に仕込みを始め、春から秋にかけて熟成させる「寒造り」と呼ばれる伝統的な製法を遵守しています。吉野杉製の甑を使用し、濃厚な味わいとスムーズな口当たりを実現しています。

また、剣菱酒造では暖気樽や菰樽など、伝統的な木製品を多く用いており、日本酒業界全体でこれらの木製品が減少する中でも、独自に木材のメンテナンスと生産を行う専用工場を新設しました。この工場は他の酒造や醤油製造業者からのオーダーにも応えています。

弔い酒としての位置付け

剣菱は地元では主に葬儀などで使用されることが多く、「弔い酒」として親しまれています。また赤穂浪士が討ち入りの前にこの酒を嗜んだとの伝承もあり、葬儀以外の場面でも神社への酒樽奉納や企業の年末納会で多く見られる、節目を飾る酒の一つとしての地位を確立しています。

商標の由来

「剣菱」という名称には二つの説があります。一つは天地陰陽和合の象徴という解釈で、上部が男性、下部が女性を表しています。もう一つは、仕込用水の井戸清掃中に不動明王が現れたことから、その御尊像の剣の形を模して酒標としたとの伝説です。これらの伝説から、剣菱を飲むことで運を呼び込むとされています。江戸時代には「剣菱を飲む」という表現も存在し、多くの人々に親しまれていました。

震災の影響

1995年の阪神・淡路大震災では、剣菱酒造も周辺の酒蔵同様に大きな被害を受けましたが、それを乗り越えて現在も酒造りを継続しています。

取扱商品

剣菱酒造では以下のような商品を取り扱っています：

• - 本醸造酒

- 上撰剣菱
- 黒松剣菱
- 極上黒松剣菱

• - 純米酒

- 瑞祥黒松剣菱（冬季限定商品）
- 瑞穂黒松剣菱

剣菱酒造は、伝統を重んじる姿勢を持ちながらも、現代のニーズに応える酒造りを続けています。

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