加藤保憲

加藤 保憲（かとう やすのり）

加藤保憲は、荒俣宏の小説『帝都物語』や『帝都大戦』に登場する架空のキャラクターです。彼は表向きには大日本帝国陸軍の将校として生活していますが、その実態は東京の滅亡を狙う魔人という二重生活を送っています。彼の姿は、紀州・龍神村の出身とされていますが、詳細な生い立ちは謎に包まれています。

人物の特徴

加藤は長身で痩せた体型をしており、特徴としてはこけた頬ととがった顎、さらにはきれいに刈った髪形が挙げられます。彼の外見は、どの時代においても老いを感じさせない神秘的なもので、鋭い眼光と軽快な身のこなしが特徴的です。彼は黒い五芒星の紋様が入った白手袋を着用し、剣の名人でもあります。愛用する刀は孫六兼元という、美術品としても名高い刀です。

加藤は非常に強力な霊力を持っており、あらゆる魔術の技術に精通しています。彼は屍解仙の秘術を使い転生した経験もあり、特に陰陽道や風水、さらには蠱毒においては比肩する者がいないほどの達人です。天皇直属の陰陽道の一門、土御門家にも勝る実力を持っているため、彼の能力は非常に高く評価されています。

物語の中での役割

物語においては、様々な姿の式神を操り、歴史的な人物である平将門の怨霊を復活させることを目指します。加藤は、東京の地下に眠る平将門を目覚めさせ、そこから発生した大地震によって東京を壊滅状態にするという壮大な計画を進めます。昭和73年には、ついに彼の陰謀が実行され、加藤の暗躍によって東京は大混乱に陥ります。彼は最後に将門との決闘を行いますが、その後の行方は不明となります。

映画『帝都大戦』においては、設定が変わり、太平洋戦争で多くの日本人の怨念によって蘇った魔人として描かれています。この作品では、魔術や式神に頼らず超能力を駆使して帝都を破壊しようとするストーリーが展開されます。また、荒俣が原案を手がけた映画『妖怪大戦争』にも登場し、東京を滅亡させようとする魔人として描かれました。

影響を受けたキャラクター

加藤保憲のキャラクターは、当初はミュージシャンの立花ハジメをイメージしていたとされています。しかし映画版『帝都物語』での嶋田久作の演技によって、加藤像が強く印象づけられました。荒俣は、嶋田の存在感に触れ「加藤保憲は嶋田と共に作り上げたキャラクター」と語りました。この影響により、加藤の容姿についても嶋田の形に合わせて書き直されました。

加藤を演じた俳優たち

加藤保憲を演じた俳優には、嶋田久作が映画『帝都物語』や『帝都大戦』、OVA版『帝都物語』での役柄があります。さらに、西村和彦が映画『帝都物語外伝』、豊川悦司が『妖怪大戦争』に出演しています。また、神木隆之介も同作の続編『妖怪大戦争 ガーディアンズ』に登場しています。

関連項目

加藤保憲は、平安時代中期の陰陽師、賀茂保憲にちなんで『保憲』と名付けられています。加藤の影響は様々なメディアに広がり、映画の宣伝に関しても彼にインスパイアされたキャラクターが登場するなど、文化的な影響が見受けられます。

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