北村紗衣

北村紗衣：イギリス文学とフェミニズムの交差点

北村紗衣（1983年4月12日生まれ）は、イギリス文学、特にシェイクスピア研究とフェミニスト批評を専門とする日本の学者です。キングス・カレッジ・ロンドンでPh.D.を取得し、現在は武蔵大学人文学部英語英米文化学科の教授として教鞭を執っています。

生い立ちと学問への道

北海道士別市で生まれ、父親は道北日報の社長、祖父は文学批評家という家系に育ちました。中学生の時に映画『ロミオ+ジュリエット』を観たことがきっかけでシェイクスピアに興味を持ち、北海道旭川東高等学校では図書委員として活動しました。東京大学に進学し、教養学部超域文化科学科で表象文化論を専攻。大学院では河合祥一郎と高田康成の指導を受け、『アントニーとクレオパトラ』を研究対象としました。

シェイクスピア研究とフェミニスト批評

大学院在籍中には、日本学術振興会特別研究員として「エリザベス朝及びジェームズ朝の悲劇における女性の表象」を研究テーマに掲げ、ルネサンス時代のイギリスにおける月経や妊娠の表現、蜷川幸雄演出の『お気に召すまま』のクィア批評など、多角的な視点からシェイクスピア作品を掘り下げました。キングス・カレッジ・ロンドンでは、ジェンダーとシェイクスピアの受容に関する研究を行い、Ph.D.を取得しています。

武蔵大学での活動と著作

武蔵大学では、シェイクスピア作品の受容調査やウィキペディアを活用した授業を展開するほか、Webマガジン『wezzy』で連載を持つなど、幅広い活動を行っています。著書には、『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』や『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』、『批評の教室』などがあり、シェイクスピア研究、フェミニスト批評、共感覚といった多様なテーマに取り組んでいます。

ウィキペディアでの活動

北村紗衣は、「さえぼー」というユーザー名でウィキペディアの編集者としても活発に活動しており、自身の授業で「英日翻訳ウィキペディアン養成プロジェクト」を実施するなど、ウィキペディアの普及と発展に貢献しています。また、ウィキペディアにおけるジェンダーギャップの問題提起や、女性科学者に関する記事の充実にも力を入れています。

受賞歴

有島青少年文芸賞
表象文化論学会賞
女性史学賞
紀伊國屋じんぶん大賞

主要著作

『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち ― 近世の観劇と読書 ―』
『お砂糖とスパイスと爆発的な何か ― 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門 ―』
『批評の教室―チョウのように読み、ハチのように書く』
『英語の路地裏―オアシスからクイーン、シェイクスピアまで歩く』
* 『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』

北村紗衣は、学術研究、教育活動、社会活動を通じて、イギリス文学、フェミニズム、そして知識の共有という多岐にわたる分野で貢献を続けています。

もう一度検索