千代保稲荷神社

千代保稲荷神社（おちょぼさん）

岐阜県海津市に鎮座する千代保稲荷神社は、地元では「おちょぼさん」の愛称で親しまれる稲荷神社です。西濃地方や尾張地方では「お千代保稲荷」と呼ばれ、NHKの初詣特集でも度々取り上げられるほど、広く知られています。伏見稲荷大社、豊川稲荷と並ぶ日本三大稲荷の一つとも称されますが、神社側はこれを公式には認めていません。

歴史と由緒

神社の創建は平安時代にまで遡ります。源義家の六男、義隆が分家した際に「先祖の御霊を千代に保て」との言葉と共に宝剣と義家の肖像画を賜り、その言葉が神社名の由来となっています。室町時代の文明年間（1469年～1486年）、義隆の子孫である森八海が祖神を祀ったことが始まりとされ、現在19代目が継承しています。

祭神とご利益

千代保稲荷神社では、商売繁盛、縁結び、合格祈願など、様々なご利益があるとされています。伏見稲荷大社や豊川稲荷大社と比べると規模は小さいものの、年間250万人の参拝者を集める人気の神社です。特に正月三が日や月末月初、15日などは大変混雑します。商売繁盛を願う参拝者が多いのが特徴で、自営業者だけでなく、税理士などの専門職の方々も多く訪れます。

境内と特徴

「先祖の御霊を千代に保て」という教えに基づき、現在も境内ではお札やお守りは一切販売されていません。しかし、御神籤は用意されています。拝殿横には、持ち上げて重さが予想より軽ければ願いが叶うとされる丸い石があり、百度石の先には、足止め祈願のため無数の靴が打ち付けられた大木も存在します。全国的には、狛犬の足に紐を巻いて足止め祈願をする風習があります。

門前町

バス停のある大尻地区から須脇地区にかけて、約150もの店が軒を連ねる賑やかな門前町が広がっています。境内でお守りなどが販売されていないため、門前町には縁起物を扱う店が多く、川魚料理（うなぎ、なまず、モロコ甘露煮、鮒味噌など）、草餅、みたらし団子、漬物、串カツ、どて煮、五平餅などが名物として人気です。特に串カツとどて串はテレビでも紹介され、多くの店が競い合うように提供しています。かつては元プロ野球選手の大豊泰昭氏のお店もありました。土日祝日には、軒先で揚げたての串カツを摘んで、どて串の煮汁につけて食べる光景が見られます。

行事

千代保稲荷神社では、様々な行事が行われています。毎月月末の夜から翌朝にかけて行われる「月越参り」は、夜通し営業する店も多く、賑やかな縁日となります。初詣、初午の植木市・陶磁器市、秋祭りなども盛況です。昭和時代には、秋祭りには関西から漫才師を招いた演芸会や映画上映会、相撲大会などが開催されていました。

アクセス

電車とバスを利用する場合は、名鉄名古屋駅から笠松駅を経由し、新羽島駅から海津市コミュニティバス「海津羽島線」で「お千代保稲荷」バス停下車です。名阪近鉄バス海津線やにしみのライナーを利用する場合は、停留所からタクシーとなります。自動車の場合は、名神高速道路の大垣ICまたは岐阜羽島ICから約15分です。昭和時代には名鉄竹鼻線大須駅から岐阜バスおちょぼ稲荷線が運行されていましたが、現在は廃止されています。

その他

参拝の際には、小銭と一緒に稲藁で結んだ油揚げをお供えするのが特徴です。油揚げと蝋燭は神社石段の登り口で販売されています。毎夕、近所の子どもたちに油揚げが配られるという温かい習慣もあります。

所在地

岐阜県海津市平田町三郷須脇

周辺施設

早川家住宅（国の重要文化財）

名古屋支所

愛知県名古屋市千種区に1952年（昭和27年）創建された名古屋支所があります。

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