南葛西

南葛西：江戸川区最南端の町並み

地理と概要

南葛西は、東京都江戸川区の最南端に位置する町名です。江戸川区葛西地域の南部にあり、面積は約1.51平方キロメートル。環七通りが南北に貫き、町の中心部を形成しています。東側は旧[[江戸川]]が流れ、千葉県浦安市と隣接。西側は臨海町に接し、北は東葛西、中葛西と隣接しています。

町の形成と歴史

かつてこの地は、太日川（江戸川の古名）の三角州でした。江戸時代には堀江新田の一部として開発され、入植者によって私設の海岸堤防が築かれ、「葛西海岸」と呼ばれるようになりました。内陸部は田畑となり、外側は干潟や湿地が広がり、豊かな漁業を支えていました。

明治時代以降、葛西海岸は江戸川の氾濫や高潮、地盤沈下、塩害などに苦しみました。1958年には「黒い水事件」が発生し、沿岸漁業は衰退。放棄地には産業廃棄物が不法投棄されるなど、環境問題が深刻化しました。

1960年代、東京電力は電力需要の増加に対応するため、この地へ超高圧送電線を建設。1970年代には葛西沖開発事業が始まり、臨海町、清新町などが誕生しました。南葛西は、1979年に住居表示が実施され、現在の町名となりました。かつての海岸堤防の一部は、現在も都道450号線として残されています。

住宅地としての発展

南葛西は、区内で5番目に人口の多い町であり、多くの住宅が立ち並びます。環七通り沿いやその周辺には一戸建て住宅や集合住宅が密集し、なぎさニュータウンや堀江住宅などの大規模な集合住宅群も見られます。人口密度は葛西地区で最も高く、防災上の課題も存在します。特に旧[[江戸川]]沿いは、地震時の液状化の危険性が高い地域です。

産業と経済

南葛西には、約461の事業所があり、約5049人が就労しています。卸売・小売業、運輸業、建設業などが多くを占めており、区内平均と比較して運輸業と教育・学習支援業の比率が高い点が特徴です。地価は、近年も高い水準を維持しています。

交通と生活環境

南葛西には鉄道駅がありません。最寄り駅は、JR京葉線葛西臨海公園駅、東京メトロ東西線葛西駅で、いずれも徒歩圏内ではありません。都営バスや京成バスが運行し、交通の便は決して良くはありません。しかし、環七通りのアクセスが良いこと、区内でも教育施設が充実している点が魅力です。公園やレクリエーション施設も整備され、生活環境は比較的良好です。

教育施設

南葛西には、南葛西小学校、南葛西第二小学校、南葛西第三小学校、南葛西中学校、南葛西第二中学校、東京都立葛西南高等学校などの教育施設があります。江戸川区の学校選択制度により、区内全域の学校を選択できる点が利点です。

まとめ

南葛西は、歴史的変遷を経て発展してきた町です。かつての葛西海岸の面影を残しつつ、住宅地として発展を続け、高い人口密度と防災上の課題を抱えながらも、教育施設の充実や比較的良好な生活環境を有しています。交通の便は決して良くないものの、環七通り沿いの利便性や、地域の公園・レクリエーション施設などが地域住民の生活を支えています。今後も、防災対策の強化や、交通利便性の向上などの課題に取り組むことが必要です。

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