南蒲原郡

新潟県南蒲原郡：歴史と変遷

南蒲原郡は、新潟県に位置する郡です。2024年10月1日時点の推計人口は10,466人、面積は31.71平方キロメートル、人口密度は330人/平方キロメートルと、比較的コンパクトな地域です。現在、田上町1町のみが含まれますが、その歴史を紐解くと、現在の行政区画に至るまで複雑な経緯を辿ってきたことがわかります。

郡域の変遷：明治時代以前

南蒲原郡は明治12年（1879年）、郡区町村編制法の施行により発足しました。しかし、その郡域は、現在の田上町以外にも広範囲に及んでいました。明治初期の蒲原郡に属していた地域は、現在の三条市、長岡市、加茂市、見附市、燕市の一部を含んでいました。この地域は、江戸時代には複数の藩や幕府領、寺社領などが複雑に混在していました。

「旧高旧領取調帳」によると、明治初期時点では3町334村が存在。幕府領や旗本領は新潟裁判所の管轄となり、戊辰戦争後には越後府、新潟府、越後府（第2次）、水原県、新潟県（第2次）と、管轄が何度も変更されました。明治4年の廃[[藩置県]]を経て、全ての地域が新潟県に統合されました。

明治5年から明治11年にかけて、町村の合併や改称が繰り返され、村の数は徐々に減少していきました。例えば、中村の3ヶ所がそれぞれ南中村、西中村、北中村に改称されたり、複数の村が合併して新しい村が誕生したりするなど、現在の行政区域につながる地盤が形成されていきました。

郡発足以降の変遷：町村合併と市制施行

明治12年の郡発足後も、町村の合併や市制施行といった大きな変化が続きました。明治12年には、郡役所が三条町に設置されました。その後、複数の村が合併して新しい村が誕生したり、村が分立したり、改称が繰り返されたりしました。

明治22年の町村制施行により、4町53村が成立。以降も合併や市制施行が繰り返し行われ、昭和29年（1954年）には見附町が市制施行し、南蒲原郡から離脱しました。昭和9年から昭和31年にかけては、三条市や加茂市などの市制施行、町村合併が相次ぎ、南蒲原郡の区域は大きく縮小しました。

昭和48年には田上村が町制施行し、田上町となり、平成17年（2005年）には、中之島町が長岡市に編入、栄町と下田村が三条市に合併しました。これにより、南蒲原郡には田上町1町のみが残ることとなりました。

南蒲原郡の変遷：まとめ

南蒲原郡の歴史は、明治時代の郡区町村編制法施行から始まり、数多くの町村合併や市制施行を経て、現在の姿となりました。複雑な経緯を経て現在の1町へと至る歴史は、行政区域の変化が激しかった時代を物語っています。 この変遷は、人口減少や都市化といった社会情勢の変化を反映しているとも言えます。 歴史的資料や地図を参考にしながら、その変遷を詳細にたどることで、地域社会の形成と発展を理解することができます。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 15 新潟県、角川書店、1989年9月1日。ISBN 4040011503
旧高旧領取調帳データベース
上野柏郎 編『南蒲原郡史』上野竹次郎、1915年。NDLJP:948221
『越佐地図教科書』（国立国会図書館デジタルコレクション）- 1896年（明治29年)1月出版。

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