古曲

古曲（こきょく）について

古曲とは、古い時代に作られた楽曲を指す音楽ジャンルです。この言葉は、新しい時代に作られた楽曲を指す「新曲」と対比される形で使用されます。特に、日本の伝統音楽においては、重要な位置を占めているジャンルです。

筝曲の古曲

筝曲において古曲とは、主に元禄以来から貞享年間にかけて八橋検校が制定した「表組・裏組」からなる組歌や、著名な作品『雲井弄斎』などを指します。1926年に刊行された『山田流 箏歌八葉集』では、八橋検校の楽曲の中でも特に大正時代に演奏頻度が低下したものが古曲として取り上げられています。具体的には『布袋』『夏やせ』『めぐりあふせ』『あけがらす』『葉隠』『竹いかだ』『かさのうち』『相生』『曲水』『花妻』『夏』『花のかがみ』の12曲が消滅の危機にあるとされています。

このような作品群は、古典的な日本の音楽文化の貴重な遺産であり、伝承されることが非常に重要です。筝曲は独特の音色と演奏技術で知られており、古曲の復興に向けた活動がさまざまな形で行われています。

三味線音楽における古曲

三味線においての古曲もまた、特有の流派に特化しています。特に、浄瑠璃の河東節・一中節・宮薗節（薗八節）や、長唄から派生した荻江節が挙げられます。これらの流派は、他と比較して認知度が低く、1919年に町田佳聲によって初めて「古曲」という名前が付けられました。この用語は1925年にNHKのラジオ番組でも取り上げられ、その後『古曲の夕べ』や『古曲の午後』といった番組を通じて広まりました。

また、1933年には笹川臨風が古曲鑑賞会を初めて開催し、その普及が加速しました。1962年には古曲の伝承や普及活動を目的とした財団法人古曲会が創立され、これにより古曲はより多くの人々に知られるようになりました。

例えば、三味線の古曲の一つとして、楽曲『茶の湯音頭』の元となった『女手前』が知られています。三味線の古曲は演奏者が限られており、比較的珍しいため、同じ演奏者が異なる楽曲を習得しているケースが多く、効率的に習得することが可能な利点があります。従って、古曲は音楽文化の継承だけでなく、演奏者間の交流を促進する要素ともなっているのです。

このように、古曲は日本の伝統音楽の中で重要な役割を果たしており、その存続と普及が強く求められています。古曲の魅力を再発見し、後世に伝えるための取り組みが続けられることを願っています。

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