呉景

呉景（ご けい）

呉景は、後漢末期の武将・政治家であり、揚州呉郡呉県（現在の江蘇省蘇州市一帯）の出身です。父は呉煇。

生涯

呉景は若くして父母を亡くし、姉と共に暮らしていました。姉は、後に孫堅の妻となります。孫堅が呉氏一族との縁組を望んだ際、一族は難色を示しましたが、姉は孫堅の報復を恐れ、「禍根を残すべきではない」と説得し、縁組を受け入れさせました。孫堅との間には、孫策、孫権らを儲けています。

呉景は孫堅の下で数々の戦に従軍し、功績を挙げ、騎都尉に任命されました。孫堅の死後、その軍勢は孫賁が引き継ぎ、呉景も共に袁術を頼りました。

袁術は揚州攻略を目論み、呉景を丹陽太守に任命。呉景は既存の太守であった周昕を討伐し、丹陽郡を奪い取りました。この際、周昕に味方する民衆を無差別に処刑すると予告したため、周昕は止む無く会稽郡へと退避しました。

孫策が呉景の元に身を寄せた頃、孫策は曲阿で兵を集めていましたが、涇県を拠点とする祖郎に急襲され、壊滅的な打撃を受けました。呉景は孫策に、孫河や呂範らと協力して祖郎を討伐することを進言し、これを撃破しました。

劉繇が袁術を避けて曲阿に滞在していた際、呉景は当初、孫賁と共に劉繇を迎え入れようとしましたが、後に対立し、丹陽から追放されました。再び袁術を頼った呉景は、督軍中郎将に任命されました。その後、孫賁と共に横江津の樊能・于糜、当利口の張英を攻撃しましたが、攻略することはできませんでした。

孫策が加勢に駆けつけ、共に長江を渡り劉繇を追撃しましたが、牛渚で孫策が負傷したという情報が伝わると、降伏していた反乱者たちが再び蜂起しました。呉景は彼らを鎮圧しました。

孫策が劉繇を豫章に追い込むと、呉景と孫賁に袁術へ戦果を報告させました。袁術は劉備への対抗策として呉景を広陵太守に任命しました。

袁術が皇帝を僭称すると、孫策は袁術と絶交し、呉景も孫策の指示に従い広陵を放棄しました。独立した孫策から、改めて徐琨の後任として丹陽太守に任命されました。建安2年（197年）、朝廷から議郎の王誧が巡察に訪れると、呉景は朝廷から正式に揚武将軍を授けられ、丹陽太守を兼任することも認められました。

建安8年（203年）、呉景は丹陽太守の職務中に亡くなりました。

子孫

呉奮：呉景の子。新亭侯に封じられました。孫権の荊州征伐の際には、呉郡都督として留守を任されました。呉安の父。
呉安：呉奮の子。新亭侯を継ぎましたが、二宮事件で孫覇（魯王）を支持したため、後に処刑されました。
呉祺：呉景の子。都亭侯に封じられました。孫権に気に入られ、訴訟の取り捌きを任されることもありました。呉纂の父。
呉纂：呉祺の子。都亭侯を継ぎましたが、滕胤の娘婿であったため、滕胤の反乱に連座し処刑されました。

呉景の血筋は、呉において一定の地位を保ちましたが、内紛や反乱に巻き込まれる者もいました。

もう一度検索