和泉監

和泉監の歴史と役割

和泉監（いずみのげん）は、奈良時代の前期、特に716年に設立された臨時の地方行政区および機関です。現在の大阪府和泉地方に位置し、後に成立する和泉国の範囲にも関連しています。和泉監の設立は、元正天皇が河内国和泉郡に珍努宮（後の和泉宮）の建設を計画したことによります。

和泉監の設立背景

716年3月、元正天皇は河内国和泉郡に珍努宮を造営する決定をしました。このため、和泉郡に加え、日根郡もこの宮のための経費に割り当てられました。その翌月の4月19日、元正天皇は、さらに大鳥郡を分割し、これら3郡を統括するために和泉監を設立しました。

和泉監は、798年（天平9年）の「和泉監正税帳」によると、一般的な国司の職務に類似していることが記されています。しかし、摂津職が難波京の管理を行ったのと似たように、和泉監も珍努宮の管理を担当しました。これにより、和泉監は地域の政治・経済の管理を担う重要な役割を果たしました。

和泉監の管理構造

和泉監の組織は、正（長官）、佑（判官）、令史（主典）のそれぞれ1名ずつにより構成されており、次官はいませんでした。716年6月には史生（歴史を記録する職務の者）が3名設けられています。このように、和泉監は厳格でシンプルな管理体制を持っていました。

大宝令に基づく規定では、和泉監と芳野監の二つの監が、在外の監司として明記されています。これは、唐の制度を参考にしたものと考えられています。これらの監は、後に『続日本紀』において「両京・四畿内及二監」とも称されており、その地位を確立していました。

天皇の行幸と和泉監の役割

元正天皇は717年と719年、また聖武天皇は744年に珍努宮への行幸を行い、和泉監に特別な注目を寄せました。特に717年の初回の行幸時には、和泉監の堅部使主石前は一階昇進し、労働者たちにも段階別に物品が授与されました。このような行幸は、和泉監の重要性を示す証とも言えるでしょう。

732年には「和泉監の伯姓（人民）に賑給す」という記録があり、地域住民への施策が実施されたことも確認されています。これは和泉監が地域の発展に寄与していたことを示しています。

和泉監の廃止と復活

しかし、740年8月、和泉監は廃止され、河内国に戻されてしまいます。地域の行政管理が変遷する中で、757年に孝謙天皇によって和泉監が再設立され、能登国や安房国と同様に再び3郡が配置され、和泉国としての地位を回復しました。この復活は、和泉監が地域において多大な影響を持ち続けたことを物語っています。

まとめ

和泉監は、奈良時代の初期における重要な地方行政機関であり、地域の政治・経済の中枢として機能しました。その設立から廃止、再設立の歴史を通じて、和泉地域の発展に寄与してきたその役割は、現在においても評価されています。

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